ニエズ その1

知る人ぞ知る台湾ドラマの傑作「ニエズ(Hatenaですと文字化けするので漢字使えません。商品画像参照)」全20話を観終えました〜。

DVDを貸してくださったSさん、非常感謝!
日本語版だったおかげで、中文字幕を追いまくる煩わしさを感じることなくドラマに没頭できました。
ああ、言葉ってホントに大事。
それにしても、よく日本語版出してくれましたね。それだけ当時は日本でも話題だったってことなのかな。
このドラマは何年も前に(2005年あたりかな)中華明星迷のお仲間たちが夢中になって盛り上がっていました。
その頃私は明星世界から離れていたので、その話題には絡めず、興味もなく、この奇妙な名前のドラマがどんな内容なのかも全く知らずにおりました。
ただ、皆の話からなんとなく、ゲイの男の子たちの群像劇っぽい?ってのを漠然と感じてただけ。
こないだたまたま「花蓮の夏」にハマった私に、このドラマを見ることを勧めてくれた友人がいたので、遅ればせながら鑑賞あいなったというわけです。


(以下、ネタバレあります)


そんなわけで、「ゲイの男の子たちの群像劇」っていうイメージだけを抱えてドラマを見始めた私は、面喰うこととなりました。
想像していたのと違う。
繰り広げられるのは家族の物語であり、しかもかなりシリアスな展開…。
なにしろ最初に私の心をとらえたのが、主人公・阿青の弟(赤ちゃん)のあまりの可愛さで、その可愛い赤ちゃんが「12歳で死んでしまう」っていうネタバレがしょっぱなから語られるんですよ…
もうね…その先はもうそのことしか頭になくなっちゃった。
この子がどうやって死んでしまうのか、事故なのか病気なのかつらい死に目なのか怖い目にあうのか…ってことばかり考えちゃって、ろくすぽストーリーに入り込めないんですよ(汗)。
もうね、可哀想で可哀想で…
ただでさえ小さな子供が出てくるとドラマそっちのけになって気になってしまう(だから子どもが出てくるドラマは苦手)というのに…この展開はあまりにもシンドイ。物語破壊力ハンパない。
その間も母親はチャラいラッパ吹きと駆け落ちして家を出ちゃうし、父親は酔っぱらっては鬱屈してるし、阿青は同性愛に悩む少年である以上に家庭に恵まれない苦労人であり(むしろそのせいで友人に依存していてそれを同性愛と混同している風にさえ思える)…「もしかしたらこれって暗いばっかりの家族ドラマなのか?」と挫けそうになりました。
(阿青が家出をするくだりまで、ですが)。


このドラマの基幹には父(あるいは父親的なもの)と子の愛情と葛藤というものが大きく横たわっています。
「寄る辺ない子どもたち」という言葉が象徴するように、出てくる若者たちは皆、家庭環境が壊れていて、肉親と断絶しており、加えて性的なマイノリティゆえに社会からもはみ出てしまっている存在。
なので、そもそものはじまり(なぜ寄る辺なくなったのか)をガッツリと描くことで、後々主人公の心により踏み込みやすくなるので、最初の展開は必要不可欠だったと後になって気づくわけですが、初見じゃそんなこたわかんないからね。


…ハマれないかもなぁーって(汗)
なんで皆はこのドラマにあんなにハマれたんだろう…と、不安になる始末。
いや、もちろんすごく良くできているドラマなんですよ。人生ドラマとして。
でも、こと「萌え」視点で言ってみたらそんなシーンどこにあるのかと。
こんな不幸の連続のどこに萌えろと?


物語にちゃんと入り込めるようになったのは、弟が亡くなって阿青が家を出てからです。
そこからは重苦しい家族の話からは離れて(てか、私自身が「弟はいつ死んじゃうのか」っていう極度の不安から解放され)、若者たちのエピソードが中心になってゆくので、次第に屈託なく物語に入れるようになりました。
それでも時々トラップみたいに物語の中でネタバレがあるので、その都度ひっかかって入り込めなくなってしまう…という脚本の欠点(私にとってはこれは欠点)があり、そこはちょっとなーって感じ。
劇中ネタバレは私、ダメだわ。
先に何があるかわかってしまうと、そこへの道筋ばかり考えてしまって、目の前の出来事に集中できなくなるの。
それでもとにかく、キャラ揃いの若者たちにも夢中になって、2巻目を終わるころには「この物語の世界にもっと浸っていたい」と思うまでにハマれました。無事にw
全部で6枚のDVDが、残りあと2枚ってなった時には名残惜しくなり、(1枚に4話入っているから)「でもまだ8話もあるし!」と思いこんでいたのに、最後の一枚のDVDはメイキングで、残っているのは4話しかない!と知った時は心底ショックでしたからね。(←単なるマヌケ(汗))
惜しむらくは終わり方がなんとなくスッキリしない。ボヤ〜ンとした感じで終わっちゃうことですかね。
これ、「続きはアタシが書こうじゃないか!」…ってなる人も少なくないんじゃないかとフト思いました。
ニエズの2次モノって台湾にいけばフツーに溢れかえってる気がするわ。これ、放っておかないでしょ。


主人公を巡るゲイコミュニティの面々は個性豊かでそれぞれがみな見事にキャラ立ちしてます。
(カッコ内は演じてる俳優)
真面目で黙考型の主人公・阿青(范植偉 ファン・ジーウェイ)。
オシャレで明るくてポジティブな小玉(金勤)。
繊細で気弱で優しい小敏(張孝全 ジョセフ・チャン)。
兄に虐待されてもニコニコと耐える盗癖のある老鼠(呉懐中)。
この4人は楊師匠の下に集う、仲の良い友人です。
ドラマは彼らのエピソードを中心に進みますが、それと同時に10年前に殺人事件にまでなってしまった悲恋の伝説が語られる、龍子と阿鳳という二人の若者が絡んできます。
いいとこの坊ちゃんで思い込みが激しい龍子(トゥオ・ツォンファ)。
孤児で傷付きやすいゆえに凶暴になってる阿鳳(馬志翔)。
そのほか彼らを見守る訳知りの年長者、一時の相手となる者たちなどが加わります。
あ、それと阿青が家出をする原因となった同級生・趙英(トニー・ヤン)もいますね。
ちょこっと出演でチェン・ボーリンもいた。


うーん、実にバラエティに富んだラインナップ。
さて、どのキャラクターに一番惹かれた?
…ってのを語るのはとても楽しい酒の肴になりそうな。
てなわけで、次回は私の萌えキャラを語りますw
さぁ、誰でしょ〜。
ちなみに今は原作本を読んでいます(図書館で見つけて即借り)。
こちらの感想もあとで書きますね。