更新されてゆく喜び


秋になるとノーラ・エフロンの映画を観たくなり、ポール・オースターの小説が読みたくなります。
音楽でいうとサイモン&ガーファンクルが聴きたくなるんですが…
…よく考えたらこのラインナップってめっちゃニューヨーク風味ですね。
もしかして私ってニューヨークが好きなのかしらん?(自覚なかったなぁ)
心象風景にはネバダあたりの砂漠の景色があったりなんかするんですけどね。


秋めいてきたここ数日、オースターの小説をつらつら読み返しています。
オースターは私の心の友。とてもとても近しい存在です。
(…とか何とか言いながら、原文で読んでるわけじゃなくて翻訳で読んでるんでホントのところはわかっていないのかもしれない…という不安は常にありますけどね。柴田先生の素晴らしい翻訳があってこそ、です)

オースターの小説を読んでいると、私とそっくり同じような思考をする人間がごく普通にそこにいて、しっくりと優しく馴染むのを感じます。
たとえ奇抜な物語の中であっても、違和感なく。 
人も言葉も風景も、あるべき場所にちゃんとある。


今年はお嬢もオースターを読んでいるので語り合えたりして楽しいんですよ。
かなり気に入っている様子。
オースターのメタ認知的な世界観を巡ってあれこれ話せるなんて、嬉しいことです。
お嬢は今、NY三部作を読み終えて、「ムーン・パレス」を読んでいるところです。
これから人生を切り開いてゆく大学生くらいの若い子には、一番のおススメかもしれません。
この物語の最初の出だしと最後のシーンがとても好きです。
凹んだ時に思い出すとポジティブな気持ちになれる。
実にアメリカらしいフロンティア精神が生きている物語です。


ムーン・パレス (新潮文庫)

ムーン・パレス (新潮文庫)


先日、ファンブックの改訂版を買いました。



青い帯の方が以前買って持ってた旧版。
これより前のものもあったけれどもう手放してしまいました。
次々と新作が出て、作品解説本がどんどん改訂・更新されていくというのは実に幸せなことですね。
オースターには長生きしてもらいたいです。本当に。