池上秀畝の「台湾紀行」


古書店には行ってみるものです。
今日は素晴らしいお宝本を見つけました。
池上秀畝・著、張良澤・編の「台灣紀行」です!



日本画家の池上秀畝(いけがみ・しゅうほ)が、昭和6年(1931年)に訪れた台湾各地の印象を綴った随筆が、近年、長野県の自宅の倉で発見されました。
これは、その随筆に当時の台湾各地の風景や風俗の写った絵葉書や写真を添えて新たに編纂された紀行本です。
(だから、書かれた年代は古いけど、出版されたのは2001年と、つい最近)
基隆、台北、阿里山高雄、墾丁、蘇澳、花蓮……日治時代の各地のエピソードとノスタルジー溢れる写真に心惹かれます。
原住民関係の話題が多いのも嬉しい。
画像で「阿里山の青年」と紹介されているのは、ツォウ族の青年です。これは私も以前から知ってる有名な画像。(ネットで「ツォウ族」と調べると、彼が出てきます)
そんなところから察するに、載せている絵葉書や写真などは当時ごく一般的に出回っていたものを使っているようです。だからなおさら時代の匂い、というものを感じやすいかもしれません。
装丁は布装で、しっかりした厚箱入りのきれいな本です。
本文は上段に日本語、下段に中国語(もちろん繁体字)という対訳形式なので、中国語学習者にも嬉しい設計。


日本語表記がしてありますが日本の出版物ではなく、台湾で出版されてるものです。
いつもネット利用している台湾の書店「博客来」には売ってたけど、アマゾン含む日本の書店では売ってない。内山書店、東方書店の2大アジア書専門店でも検索で出てきません。
ちなみに博客来では270元。
送料を考えたら、それより安く手に入れられたのでラッキーでした。
ていうかそもそも、こんな本によくまぁ出会えたな、と。
本の存在自体を今まで知らなかったわけですから、出会えたということがまずラッキーなんですよね。
それも思いがけないところで出会ったわけで。
神保町のアジア関連古書店とかだったらともかく、地方のユルい古書店のめっちゃ奥の方の棚で、川端康成なんかの文学全集の隙間に、ちんまりと置かれていたんですよ。ジャンル、全然違うのに。(ただ単に箱入り本だというだけでそこに置かれていたんだろうか)
なぜか私の足が自然にそこに向かい、目の前に「彼」がフッと現れたのです。
偶然のようでありながら、実はずっと「彼」はそこで私を待っていたのかもしれない。
いつか絶対に会える「自分を心から欲してくれる人」の存在を信じて。
一冊の本との出会いにも、時にはそんな「縁」みたいなものを感じることがありますね。
マッタンの影響で本探しモードになっている今日この頃。
前から好きだけど、ますます古書店に通いたくなった。
嬉しい出会いはまだまだありそう。
でもカネがない(汗)。
買う前にまた売らなければだなぁ。断捨離的にも。