クリムト展


昨日は地元・宇都宮美術館で開催中の「生誕150年記念 クリムト 黄金の騎士をめぐる物語」展へ行ってきました。



愛知、長崎、宇都宮と巡回してきて、ここが最後の会場らしい。
生誕150年記念といいつつも、クリムトの作品はわりと少なかったですかね。
同時代の絵画、彫刻、工芸、装飾品などの複合的な出展になっていて、クリムト展…というよりも、「ウィーン分離派展」(ウィーン分離派クリムトが中心となって興った新しい造形表現を主張する芸術家集団)とか、「ウィーン世紀末展」という感じでしたが、その分、時代の雰囲気が色濃く感じられて、展覧会自体は楽しめました。
クリムトの絵は集まりにくいらしくて、開催側の苦労がしのばれます。
美術館独自の工夫というか、見せ方が物を言うところですね。
宇都宮美術館はそういうところが非常に上手いので、メインの画家の絵の点数が少ないことに対する不満はいつもほとんど感じないで済みます。


クリムトを見に来たはずなんですが、不思議と私が感じるのはアルマ(マーラー)の面影でした。
アルマがクリムト自身の恋人だったこともあるけれど、会場のホールにはアルマの夫・マーラー交響曲1番が流れていて、展示にはアルマの恋人・ココシュカの作品も飾ってあって……なんだかいろんな男のヒトの間を渡り歩いた奔放なアルマの生涯を見ているような気分になった。
濃厚に「人生」の悦びを描くと同時に、必ずといっていいほどセットで「死」の深い淵をも描いたクリムトの作品に漲る刹那の煌きのようなものが、当時の華やかで爛れた社交界の賑わいを思い起こさせます。
今はもう誰もいなくなってしまったんだな…という感慨と共に。
人生は儚い。
けれど芸術は残ってゆく。



美術館の前の野原は緑がきれいに輝いていました。
うるわしき5月。
大好きな5月!
5月は神があたえたもうた奇跡。