春遠からじ


今日は「春渡祭」(「おたりや」と読みます)に行ってきました。
地元・二荒山神社の神事で、古いお札やお正月の松飾りなどを焚き上げる日でもあります。
これで気分も一新、新しい年が本格的に始まるような感じがします。
前日、珍しく雪が降って足元の悪い中、たくさんの人たちが参拝に来ていました。



私は二荒山神社の神事で、なによりもこの「春渡祭」が好きです。
「春遠からじ」といったイメージがいいのかな。
1年の中で最も好きな季節は5月ですが、次に好きなのが早春のこの時期です。
早春には、まだ見ぬ未来が息づいている。
いくつになっても、そんな若者みたいな感覚が抜けません(汗)。


許鞍華(アン・ホイ)監督の1997年の映画「半生縁」の中に大好きなシーンがあります。
主人公(黎明)の親友(黄磊)が、春まだ浅い公園でひそかに心寄せる相手(主人公の婚約者=呉辰君)と偶然、二人きりでボートに乗ることになってしまうシーン。
私は今だにあらゆる映画の中でも特別にこのシーンが好きなんですが、ここには私がときめく春の気配が見事に具現されているのです。
お互いが片恋だと思っている相手との、触れられない距離と、そばにいられるだけでも嬉しい暖かな気持ち。結ばれないからこその、永遠の恋。
静かな湖面に漂いながら、二人きり。どこか遠くからやってくる胸苦しいまでの春の気配に心落ち着かず、たまらなくなって口笛なんか吹いちゃったりするんですよ…


あー。
好きだなぁ。
なんであんないい映画が撮れるんだろうなアン・ホイ。
とことんお涙頂戴のバリバリの悲劇を、どこかほんのりと暖かく描いているのがこの作品の最大の魅力です。
残念ながら(黎明まで出ているのに信じられないことですが)いまだに日本語字幕つきは出ていないようで、この映画の良さを伝えるには限界があります。
チューブ探しまくったけど、映像資料さえどこにも見当たらないしなぁ。


チューブ漁りしていたら思いがけず懐かしい曲にたどり着き、ウルウルしてしまいました。
これ↓



なつかしーーーーーー。
ワン・チンマンの時代のフェイ・ウォンですよ。
中華カラオケでよく歌いました。
昔も好きでしたが、今聴くとまた格別ですね。泣ける。
あの頃の香港を愛していた気持ちがぐわーーーっと蘇ってきて。
それは台湾を好きな現在進行形のリアルな想いとはまるで違う感覚なんですよ。
なんというか、もはや戻らない大切な記憶をふいに思い出したようなセツナサ、みたいな。
かつてそこにあった想いも、憧れも、たしかにそこにいた人も、みんなどこかに行ってしまった…
まさに郷愁。
センチメンタルの極みですな。


って、これ元歌(「ルージュ」)は中島みゆきなんですよね(汗)。
めいど・いん・じゃぱーーーん。
しかもまたみゆき嬢(汗)。
私は実際のところかなり無意識下で中島みゆきが好きなのかもしれないなぁ…。
でもこれも元歌より、フェイのほうが断然好きです。
歌詞の響きがいい。広東語でね!
「ばっゆーばっゆーばっゆーつぁろつぁほい♪」の部分がグッとくるんだよ。


ところで、香港といえば、週末にドラマ「金田一少年の事件簿」見ました。
これがまた懐かしい香港の雰囲気が随所に窺えて。とても楽しかったのです。
長くなったので、これについては日をあらためて書きます。