「王道の狗」


久しぶりに「素晴らしい!!!」と唸ってしまう見事な漫画に出逢いました。
漫画…っていう言葉でいいのかなぁ(「漫画」って書くと、なんだかコメディっぽく感じる…)。
劇画、か?


王道の狗 (1) (JETS COMICS (4221))

王道の狗 (1) (JETS COMICS (4221))


あいかわらず歴史漫画に凝ってて(ここにはあえて書いてませんがツマランものもいろいろと読んでるわけですが)、これは「虹色のトロツキー」を描いた安彦さんの作品なので、チョイスした段階できっと面白いだろうと期待してました。
案の定、期待以上でした!
これ、すっごい面白いですよ。ぜひ読むべし!です。


虹トロではちょっとストーリーに理解しにくいところがあったり、ドラマの流れがもどかしかったりする部分もあったのですが(それでも好きな作品ですし、あれを描いた安彦さんの凄さに敬服していますが)、こちらはもうちょっとドラマ的にまとまっていて、作品として研ぎ澄まされてる感があります。グッと握力が強くなってる。
主人公の波乱の人生を通しての成長譚と激動の史実が絡んでいくのがエキサイティングです。
時代は日清戦争の頃。
当時の有名人も多数出てきます。記号っぽく配置された風ではなくてちゃんとキャラとして生きてる(勝海舟のカッコいいことといったら!)。
お恥ずかしながらこの作品で私、初めて金玉均という人を知りました。
衝撃でしたね。その最期に至っては…トラウマになりそうです(哀)
彼を支持し守ろうとした日本人たちの思想や目論見を含め、もっと細かい部分を知りたいと思いましたよ。
朝鮮の歴史って、私が個人的に興味を持ったことがないせいもあって、気づけば全く知らないのでした。
日本とは深く関わってきた国なのに、この知らなさは異常。
これからはアジア史の一環として意識して少しずつ学んでいかなくちゃな、と感じましたね…。避けては通れないかな、と。


それにしても漫画家さんってのは凄い!
これ、小説で書いても大変だと思いますが(考証や資料集めを考えても膨大ですからね)、それを漫画で描いちゃうんだもん、もうあまりにも凄すぎて…
だって、服装や風俗、背景まで事細かに調べて描かなくちゃいけないんですよ?気が遠くなるよ…
こんなハイパーな仕事をやってのけちゃう安彦先生はとんでもなくステキです。