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6月に読んだ本

Books

偽りの書 上

偽りの書 上

偽りの書 下

偽りの書 下


アマゾンのあらすじ紹介はこうなってる。
「カインとアベルの物語。それは、聖書に描かれた人類最初の殺人の記録。しかし、その記録には決定的な謎がある。凶器の不在。カインは何を使って、どのようにアベルを殺したのか―?創世記に描かれた、カインとアベルの物語。この人類最初の殺人の謎と、アメコミのヒーロー「スーパーマン」の原作者の父親が殺害された謎。このふたつの奇妙なつながりが、カル・ハーパーを予想もしない事件へと導いていく…。歴史の裏に秘められた事実を暴き出し、全米で50万部を突破したノンストップ・サスペンス。 」
・・・ね?めっちゃ面白そうでしょう?実際、とっても面白かったんです!
でもね、読むのにかなり時間がかかった。読みにくくて。言いたかないけど翻訳が下手なのよー。ものすごく面白いはずのストーリーが、滞ることこの上なし。
私は基本、翻訳モノが好きなのでその独特な文体にもすぐ慣れるクチですが、ここまで馴染みにくい翻訳にはめったにお目にかかったことがない。日本語になってない文章さえあるんだもん。←こんなのは編集者の責任だが。
そういう意味で残念なところがある作品でしたが、原作は秀逸です。
(たぶん、原作の文章がマズイんじゃないと思うけれど、たとえそうだとしても)プロットや展開の仕方、作者の書きたかったコアな部分のあり方などはとてもよくできてる。実質的に面白い作品だということを、文章の読み難さを超えて感じられたらオッケーって感じかな。
登場人物がある「モノ(お宝)」を取り合う(誰が敵か味方かもわからないし、「モノ」が何かもわからない中での)という争奪戦的な話なのですが、その「モノ」の意味するところが、最終的に拍子抜けで・・・でも、すごーく深くて、涙がジワッと溢れそうになるのが良いです。結局のところ作者の愛情がモノを言ったな、って感じ。他の作品も(他の訳者で)読んでみたい。

ノンストップ! (文春文庫)

ノンストップ! (文春文庫)


一方こちらの翻訳はめっちゃ上手い!ってか、作品自体がめっちゃ面白い!
スピード感あふれる展開に夢中になります。一気に読んじゃうよ。おススメ。
心当たりのない事件に名指しで巻き込まれて逃げまどう主人公、追う犯人、探る刑事、隠す人、成りすます人・・・いろんな人が入り組んでのノンストップ・チェイスです。
たった2日間の話なのに、濃いのよ〜。マンガみたいに命がけアクションの連続!終わることにはヘトヘト。かなり人生観変わったであろう主人公と一緒にお疲れさんな気分が味わえますw
ヒドイ話なんですけど、どこかユーモラスで、決定的なところでふわっと明るい。残酷だったり暗かったりというダークさが無い(いや、表層的にはもちろんある。というか、そんなんばっかりなイメージなんだけどwなぜか気にならない)作風ってのが気に入りました。こういうの好きだなぁ。
とにかく日本にはないタイプのミステリー。英国ミステリの層の厚さはパねぇっす。さすがだ。
サイモン・カーニックの作品はあと2作翻訳されているらしい(「殺す警官」「覗く銃口」)。こちらもぜひ読みたいです。残念ながら2冊とも絶版なのですが、図書館にあったぞ♪

赤々煉恋 (創元推理文庫)

赤々煉恋 (創元推理文庫)


切ない系のホラー短編。朱川さんの作品は初めて読んだのだけど・・・正直、私には向かないなぁ。
感性が合う作家がいればそうでない作家もいるということで。これはもうどうしょうもないことです。
たぶん、死生観とかが根本的に違うんだろうと思うので、拒否感出ちゃうんでしょうね。救いようがない暗〜い気分になるのがイヤだわ。
ホラー書いて一線でやってけてるだけあって、構成がとても上手い作家ですけど、とにかくシュミが合わないのでこの人の作品を読むことはもうないと思う。

小説家という職業 (集英社新書)

小説家という職業 (集英社新書)


この手の(小説家が小説家になるためのモロモロを語る、みたいな)エッセイはバカバカしいのであまり読みたくないんですけど、森さんのだから読んでみた。まず、フツーの視点からは書いてないだろうな、と思ってw(ひねくれてるという意味も、ゆえに真っ当だという感覚も含め)
「そんなことわかってるよ」ってな意見も多かったけど、だから納得しやすいというのもあるね。面白かったです。
印象的だったのは、創作の強みについて言及しているくだりです。
「(読み手の心に響く、小説の最大のアピールポイントは)その世界をたった一人が創り出したという「凄さ」である」「人は結局のところ、人に感動する」「作品を通してその人の存在を感じ、それを感じた自分を対面に置き、反響させて感動を増幅する」
ふと思うのは、私が阿嶽のことを好きになったのは、(そのきっかけになったアルバムで)彼が全てのことを一人で創り上げていたからというのがかなり大きいということです。
もちろん楽曲がシュミにあってたってのが前提ですけど、それだけじゃここまで思い入れはなかった。
阿嶽は、曲を作って詩を書いて楽器を全部自分で演奏してそれを歌ってた。分業の多い音楽業界で異例ともいえる個的世界を構築してた阿嶽だからこそ、私は思わず心奪われ、”自分を対面に置き、反響させて感動を増幅”し、その個人的な関係性にずっとこだわってるのです。
ましてや小説家なんてのはもともと一人で世界を創り上げるものなんだから、その凄みをうんと活かせるものなんでしょうね。物語は、作る人間そのものの存在の魅力に裏打ちされている部分がかなり大きい。ゆえに小説家は永遠に必要とされる、ってのもわかる気がします。

ふぉとん叢書001 雪の下の夢 : わが文学的妄想録

ふぉとん叢書001 雪の下の夢 : わが文学的妄想録


創作をめぐる日常を拾ったエッセイ集。毎日少しずつベッドの中で寝る前に読みました。
三木さんの文章は、静かで落ち着いていて、内容はものすごく思索的なのだけれど易しい言葉で語りかけてくれるので、寝しなに読むのに向いてんのです。ラジオ深夜便みたいな感じ?
佇まいや雰囲気はかなり違うんだけど、森さんのエッセイと通じるところもありました。
創作は生き物だということ。書きながら作っていくところに、書き手のエッセンスが生きてくるというような。
秀逸な小説家は皆、冒険家だな。
設計図ばかり描いてる(もしかしてそれがシュミなんじゃないかと錯覚する時さえある)私はいつになってもこの境地に行けません・・・

アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

アガサ・クリスティーの秘密ノート(上)(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)


あ。今気づいたけどこれも創作に関する話(というか、クリスティの創作メモ集そのまんま)ですね(汗)
これ、創作に関して模索してるクチとか、クリスティのファンとかでない限りあまり面白い内容のものではないと思いますが、未発表のポアロの短編「ケルベロスの捕獲」が収録されているので、それを読む目的で手にとってみるのもいいかもしれません。
人の創作姿勢ばかり気になってる私というのはもうジリ貧なんじゃないだろうか?とも思いますが・・・まぁ、そんな時もあらぁね。いろいろ巧くいってないもんで。
クリスティもたくさんの設計図を、しかも時間をかけて描いてたのだということがわかるのは、なんだか心強い思いがします。とはいえ、あんなメモの段階から珠玉の作品群の誕生までの間に起こる化学変化というか・・・脅威の変体の部分が謎。そこが一番知りたいのだよー。
これを読むと、クリスティの作品を再読したくなります。
クリスティの作品は、かつて集めた古いハヤカワ文庫版を全巻持っているのですが、ヤケまくりだし、背表紙までハゲちゃってなんだかわからないものもあるし、そもそも文字が小さくて読みにくいし・・・なので、新しく出た早川のクリスティ文庫を少しずつ揃えていこうと思っているところです。再読にもいいチャンスかな、と。
今5冊くらい手元にあります。文字が大きくてとても読みやすい。紙質もいいし。