「ジュリー&ジュリア」

ジュリー&ジュリア [DVD]

ジュリー&ジュリア [DVD]

  • 発売日: 2010/05/07
  • メディア: DVD


大好きなノーラ・エフロンの新作。
それはそれは楽しみにしていたのですが、私の地元では公開されず…DVDになったのをやっと見ました。
もうね、もう、思った以上にステキな作品でした!
ノーラはさすがだマジで(感涙)。最高!大好き!!
始まって15分でもうウルウル状態でしたからね。シアワセなようなセツないようなイトシイような”ノーラ・イズム”に胸がきゅ〜っとしちゃって。
ノーラの映画は私の心のど真ん中に響く。ものすごい共鳴っぷりです。
しかもこの作品、すごく身近な迷いや喜びが具体的に出てくるんですよ。私のために届けられたメッセージかと思っちゃう。
夢や憧れ、人生の目標を叶えるには?ブログにおける「他者」とは何者なのか?自己実現とはなにか?憧れの人、敬愛する人として心に抱く偶像との付き合い方。パートナーとの幸せな関係とは?現実の生活と未来の理想との距離。好きなことを仕事にするには?人生を楽しむにはどうしたらいいかetc
それらの回答が絶妙なセリフとシチュエーションの中に次々と現れる。
驚きつつ、いちいちメモをとりたくなったくらい。


夢を叶える、自分の生きる道を探す、というのは、何かを切り捨てていくことじゃないんですよね。大切な人と一緒に幸せにならなくては意味がない。自分だけ、の話ではないんだよ、ってのが伝わってくる物語でした。
特にジュリーは、最初のうちは悲観的で自己中心的な傾向が多々あったのに、ジュリアに感化されてどんどん「成長して」ゆくんです。その過程が、見ててとても楽しい。ヒトの成長譚ってのは楽しいのだ!
不思議と人ってたくさんのことを得ようと頑張ると、得られるようになるんですよね。
モノの考え方や対処の仕方、知恵、思いやり、工夫、感謝の気持ち…そういったこまごまとしたものを駆使していくと、自然とたくさんのものが得られるようになってく。幸せの量は決まってないの。


俳優陣も最高でした。
主演のメリル・ストリープがとにかく素晴らしかった!ジュリア・チャイルドの可愛らしさ、幸せでいられるコツを生まれながらに持っているかのような明るさを見事に演じておりました。ホントにもうこの人の上手さというのは神がかってますね。
対するジュリーを演じたエイミー・アダムスも、現代のアラサー女性を等身大に表現してた。「何者でもなく」「ままならない自分」を抱えて迷ってる姿はまさしく私。頑張れ!と応援したくなるキャラ。
二人の旦那さんもとっても素敵でした。セクシー・ハゲのスタンリー・トゥッチと、クリス・メッシーナ
メッシーナ、カッコ良かったです〜。なにこのがっつりとニューヨーカーな男は?と思ったらホントのニューヨーカーなのね(生まれ故郷の雰囲気って染み付くもんだなぁ)。
ちょっと気になって出演作品を調べたら、なんと「ユーガット・メール」にも出てるではないの。
…え?いたっけ?(汗)
この映画は何十回と観ているのだけど、全然思い出せない…→答え:フォックス書店の店員さんでした。
それと!
もしや出るかも?と思っていたけど案の定、SNLでのダン・エイクロイド(もちろん「ジュリアの料理教室」のスケッチ)も、出てきましたよ!シアワセ〜。
ノーラだったらこれ出さないわけない、と思ってたんだ(^0^)


ちょっとネタばれかもしれないことを一つだけ。


ジュリアのレシピを忠実に再現するプロジェクトを実行して話題になったジュリーを悲嘆に暮れさせたのが、ジュリア本人が彼女の行為に「不快感をしめしている」と伝える関係者からの連絡でした。
この部分、私は見終えた後にもやもやしていたんです。
なんで最後にジュリアの(あの明るくて鷹揚で楽しいジュリアの)狭量な部分を示して話を終えてしまうのだろう?と。どういう意味があるの?と。
あるレビューを見てはじめてその謎が解けました。目からウロコ、だった。
引用してみます。

この作品を観て違和感を感じない既婚の女性は私がここに書くレビューなど読む必要もないくらいに幸せな人生を送っているのだと思う。何故ジュリア・チャイルドが男性の中に混じってまで料理を研究しようとしたのか? 何故ジュリー・パウエルが出世する友人たちに負けないようにと悪戦苦闘しながら料理を作り続けたのか? それは勿論両夫妻ともに子供がいないからである。子供がいないから不幸せとは言えないし、子供がいるから幸せとも言えない。しかしジュリー&ジュリアの料理に対する異常な情熱は‘チャイルド’の不在において成り立つことは間違いない。言わばジュリアにとって彼女のフランス料理のレシピ本は子供のようなものであったはずである。だから新聞記者が電話で伝えた通りにジュリアのレシピ本を‘完全コピー’したジュリーにジュリアが不快の念を抱いていたとするならば子供を奪われてしまったような気持ちになったのだと思う。あるいはジュリーに彼女自身の‘子供’を生み出すことを促す意図があったのかもしれない。

引用元の記事はこちら


ここに気づかない私はやはり”幸せボケ”してるのかなぁ。
まだまだ私は未熟で、ノーラが作品にこめた深いメッセージを読みきれない。
でも、いつだってそんな高みにノーラがいてくれることが、この先もとても頼りになるような気がして、なんだか安心するのです。
ノーラの作品にはいつもすごくいろんなことを教えられる。人生をステキに生きるコツみたいなのがたくさん示されてます。
私という人間の一部は、確実にノーラの作品からできてるなw
ホント素敵な作品でした。映画的にも完璧にきれい。
たぶん今年観た映画のナンバーワンでしょう!(まだ半年あるけれど)


最後に。
この作品の原作本は以前読んでいて手元にあるのですが(映画より原作本はちょっと間が抜けているけれど、トーンは同じ)、そこの終章にこの作品の核になる一文があるので引用しておきます。


「ジュリアは、この世界で自分の道を見つけるには何が必要か、それをわたしに教えてくれたの。それはわたしが思っていたものじゃなかった。自分の道を見つけるには、そうね、自信、断固たる意志、幸運、そういうものが必要だと思っていた。もちろん、このどれも、間違いなく役に立つけど。ほかにもあるの。自信や勇気はそこから育つのよ。それは喜び。」


日々の喜びが、人生そのもの。