「ロスト・シンボル」

新刊を待ち望んでいたこちら。


ダン・ブラウンのラングドンシリーズ第3弾です!今回のキーワードは「フリーメイソン」。
って聞いただけでもう面白そうでハァハァしちゃうでしょう?
予想通り面白かったです。一気読みよ。
でも、やはり…というか案の定、物語の進み方は見事なほどにワンパターン。
同じフォーマットで書かれてるというか、同じ書き割りの中に書かれてるというか。要するに「水戸黄門」スタイルなのね。
あれってその都度扱う事件は違うけれど、毎度毎度助さん格さんは立ち回りをするし、由美かおるは風呂に入るし、ハチベェはうっかりするし、最後には印籠が出る。偉大なるワンパターン、といわれる代表格なわけですけど、ダン・ブラウンの小説も同じです。
ラングドンはいつだって”難しい時間”に呼び出されて事件に遭遇し、有能な美女と行動を共にし、カーチェイスがあり、これでもかと閉所に閉じ込められ(←教授は閉所恐怖症)、タイムリミットを駆け抜け、死にそうになるけどギリで助かる。偏屈な国家権力側の人間がいて、犯人は狂信的な変人、ってのもあるな。
いつだって同じ。
そこにいるのは「いつもの」ラングドン教授です。だから安心ともいえる。

だってラングドンは必ず「勝つ」んだから!

間が抜けてる、といわれりゃそうなのかもしんない。
まぁ、そんな瑣末なことを差し引いても圧倒的な面白さだってことには変わりないと思いますけどね。
そういう枠組みがあってどこか安心しているからこそ楽しめる謎解きというものもあるんだというのをこのシリーズでは感じさせてくれます。


今回は謎解きとチェイス要素が前作より増した感じです。
でも、謎を解明した先の、なんというか、真犯人の目的のようなものはなんとなく理解し難い。動機として一見弱いようにも思えるんだけど、どうなんだろうか?
とはいえ、狂信的な人間だとしたらハタからは取るに足らないようなことでも強い執着をもつものかもしれず(常人には思いがけない動機になるのやもしれず)…その部分、測りかねました。
ミステリー的な楽しみの他にも、フリーメイソンの思想や宗教観などを書いた部分などがとても興味深くて面白かった。
こういうのはもうね、ハローバイバイの話を聞いてるだけだって面白いんだからして、ここまで踏み込んでりゃそりゃそれだけで面白さ保証済みですよ。
ダン・ブラウンって、扱う題材がいつもとてつもなく魅力的なんですよねぇ。しかも危険な取り扱い注意物件ばかりだ。こういうのは日本の作家じゃ絶対読めない。
以前ブログにも載せたフルベッキ写真の謎を書いたミステリーは、日本産のこういうギリギリの(ある種の)タブーを扱ったタイプの面白いものだったけれど、この作者さん、この本が元で命狙われたり執拗に嫌がらせされたりしたらしいですからね。タブー視されてる題材を選ぶのは面白いけど難しいと思うわ。ダン・ブラウンみたいな猛者はなかなか出せませんよ。そういう意味でも彼はスゴイわけだ。超・ハイリスク、ハイ・リターン。きっと実生活もハードボイルドだぞー。
読み終えたとたんに次作が待ち遠しいです。
その前に映画化か。トム・ハンクスのラングドンも板についてきたことだし、楽しみです!(トム・ハンクスラブ♪の私としてはべつに彼がラングドンじゃなくてもいいかなあーとは思ってるんだけど…まぁ、確実にヒットする映画に出してもらえるのもそれはそれで嬉しいですしね)
日本人のCIA局長サトウは誰が演じるかなぁ。イメージでは綾戸智恵(ジャズのね)なんだけどもw