「のだめカンタービレ 最終楽章前編」


映画版のだめ、観てきました。
いや〜あっという間に終わっちゃった(いや、ちゃんと2時間あったのだけど、それを感じなかったということです)。
本来ならば、TVドラマでやっていたものを映画化するのは賛成しがたく、ドラマはドラマ、映画は映画、と、フィールドの違うもの同士としてそれぞれ矜持をもって作品創りにいそしんで欲しいと思っているのですが…ここまで好きな原作物だともうそこんとこどうでもいい(爆)。うまくやってくれさえすれば。というか、もうこのドラマに関しては音楽の中でキャラが動いているだけでも大満足!ってくらいの低レベルのチョロイ客と化しております。
パリの風景にオケの音。そこに愛すべきあのキャラクターたち。もうそれだけで至福。
てなわけなので、映画版も大満足でした。


とにかくねーいい曲が次々出てくるから楽しくって。
しかも、大好きなチャイコフスキーの曲がなぜか多かったのでした。
「1812」に「悲愴」に「白鳥」に「くるみ割り」…まさにチャイコ祭りデスよ!むっきゃー。
(春のシーンで「くるみ割り人形」の序曲が流れていたのはちょっと違和感でしたけどね(^^;;)。あれ、完璧にクリスマスの曲だから)
「1812」なんてかなりちゃんと聴かせてくれてます。
普通のドラマだったらこんなにも楽曲中心に作れないだろうというところまで音楽を聴かせてくれるから嬉しいです。
ベトベンの第9だって、めっちゃ可愛い使われ方されてて心底ワクワクしました(まさに「ヨロコビのウタ」)。マーラー5番の第4楽章も、ぴったり。モーツァルトの「トルコ行進曲」も良かった〜。でもって最後には絶対欠かせないガーシュウィン
ああ…いいわぁぁ*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*
ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」は、毎度毎度聴くたび泣ける。
こんなステキな曲、よくかけたなーと。ものすごい天才だな。
私の葬式にはコレを流して欲しいと思ったりします(若い頃は「グリーン・オニオン」(by ブッカー・T&ザ・MGs)とか「スィート・ホーム・シカゴ」がいいなぁとか思っていたんだけどもw)。


最初のベト7の演奏に入り込んでしまい、演奏シーン終了後に思いっきり拍手をしそうになって手を上げかけて「ここは映画館だった」てのを思い出しました(汗)。
ひー。まじやばかった。えらい恥かくところだった。
まさしくこの映画のキャッチ「映画館がコンサートホールに変わる」です。
この冒頭のシーンがまた豪華で。だってロケ場所がウィーンの楽友協会の黄金ホールですよ!すごいわー。
このベト7指揮シーンは他のシーンよりちょっと玉木くんの指揮姿がキマってないような気がしたんですが・・・そういう細かいこと言っちゃダメですね。演技する側はいろんな楽器を弾くシーンをそれぞれ練習するわけですが、中でも一番指揮者がタイヘンだもん。めっちゃくちゃ苦労したに違いないもん。「それっぽく」ってのが最もできにくいのが指揮者ですよ。そのことをこの映画ではすごく感じました。涙ぐましい努力のあとがうかがえました。ホントにご苦労様です。
俳優陣はみんなものすごく作品世界に入り込んだ演技をみせてくれておりました。ブラヴォーです。んもう、皆さんイトオシイ。
黒木くん(フクシくん!)なんか師匠の茂木センセの猛特訓の成果がガツンと出ておりました。ホントに上手いこと吹いてそうな雰囲気でね。ベッキーも、ものすっっごくターニャでした。ウェンツも!可愛かった。
新加入のなだぎとかチャドとかの芸人組も溶け込んでおりましたね。なだぎはやっぱり演技過剰ですが、コメディなんですからあれでいいね。アメリカ人じゃなくてちゃんとフランス人になってたしw
ラストシーンはのだめが落ち込んでいるシーンで終わってしまったから、はやく次が観たいです。


この物語はコメディだし音楽劇だしラブストーリーなのですが、私が惹かれる一番大きなポイントは、成長物語だという部分なのです。
触れているといろんなことを考えさせられる。
追いかけても追いかけてもその手につかめないミューズの衣に手を伸ばし続ける音楽家たちの葛藤や苦悩や歓びや興奮を見ていると、自分ごとのようにせつなくなる。音楽に関わっていなくても、発展途上にいる自覚のある者にとって、とても優しく勇気付けてくれる物語なのです。
「憧れを知る者のみ我が悩みを知らめ」。
ふと、この言葉が浮かびました。
これはゲーテの言葉なのですが(長編小説「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」の登場人物ミニヨンが作中で歌う歌詞の一節として書いた)、まさにその真髄がテーマになっているというかね。
憧れを追い続けるのはしんどいけれど、その先には大きな喜びがあるのを私たちは知っています。だからこそ、「ダメだなぁ」「無理だよなぁ」とくじけそうになっても、それでもあきらめたくない、とまた立ち上がれるのです。憧れあればこそ。


余談ですが(この映画には関係ありませんが)、このゲーテの言葉はチャイコフスキーの歌曲にも使われています(6つのロマンス Op.6)。
それは「None But The Lonely Heart」というポピュラーソングにもなっていろんなところで歌われてます。とてもロマンティックで好きな曲なのよ(*^ ^*)。


後編は4月だそうです。春にまた逢えると思うとワクワクします!
原作でのラストシーンまできっちり描かれているみたい。楽しみ♪