誇りかな春に比べて
優しい、優しい秋。
目に見えない刷毛を
秋は手にして
日蔭の土
風に吹かれる雲
街の並木
茅の葉
葛の蔓
雑草の花にも
一つ一つ似合はしい
好い色を択(えら)んで
まんべんなく、細細(こまごま)と
みんなを彩つて行く。
御覧よ
その畑に並んだ
小鳥の脚よりも繊弱(きゃしゃ)な
蕎麦の茎にも
夕焼の空のやうな
美くしい臙脂紫(えんじむらさき)……
これが秋です。
優しい、優しい秋。
(「優しい秋」与謝野晶子)
誇りかな春に比べて
優しい、優しい秋。
目に見えない刷毛を
秋は手にして
日蔭の土
風に吹かれる雲
街の並木
茅の葉
葛の蔓
雑草の花にも
一つ一つ似合はしい
好い色を択(えら)んで
まんべんなく、細細(こまごま)と
みんなを彩つて行く。
御覧よ
その畑に並んだ
小鳥の脚よりも繊弱(きゃしゃ)な
蕎麦の茎にも
夕焼の空のやうな
美くしい臙脂紫(えんじむらさき)……
これが秋です。
優しい、優しい秋。
(「優しい秋」与謝野晶子)