「鴨川ホルモー」

鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)


映画公開も控えて近頃話題の「ホルモー」です。
お嬢(「鹿男あおによし」をいまだに「一番好きなドラマ!名作!」と断言するヒト)にと買ったのを読んでみました。
深く考えず物語世界にぐいぐい引き込まれる、楽しくて可笑しい青春コメディ。
「ホルモー」に関しては奇抜だけれどもありそうではある。陰陽道とかにハマったことのある人にとっては新味はないかもなぁ。
でも、この小説の面白さはそういう「謎めいた」とこだけじゃない。大学生サークル内のあーだこーだを通じてのドラマというかフツーの人間描写がとても楽しいのです。
そんなのだってありがちな普遍のものなはずなのに、可愛らしい登場人物たちのスッタモンダになぜか心惹かれます。
小説の面白さは「できごと」ではないんだ、とあらためて感じました。
自分の勝手知ったるフィールドで物語を展開しているというのも強みですね。
もちろん知識もたくさんあるだろうから、描写に無理がなくて、地に足が着いてる感じ。
小説の構成としては、ちょっと前半説明が多く冗長なのが難点かもしれない。前半で脱落する人がいたら残念です。中盤以降が怒涛のごとく面白いので!


でもって、文章の淀みなさは出色です。無理なく魅力的な文章が書ける人だなぁ〜と。
文章のリズムや修辞がどこか常に可笑しいんですよ。
しかも品がいい!ホント、堅苦しくはないけれど優等生。邪悪さが微塵もなくて気持ちよく読めます。
言葉遣いの根底に、ものすごく”ヌケた明るい流れ”が感じられる。日本の作家にはあまりいないタイプのような気がするなぁ。
すごく気に入っちゃいました。新作も読んでみよう。


これ、今週末から映画公開されますが、小説の世界が頭の中にどすん、と腰を下ろしてしまったせいか、映画のキャスティングがどうもピンと来ない。
凡ちゃんはクリヤマチアキじゃないだろうどう考えても、とか。(ブスキャラが実は美人だった、ってのはなんかマキメさんのティストと違う気が)
ちなみに私はスガさんが好きで、あのノホホンとしたカッコよさってイイよね〜と思っているのですが、映画ではヨシヨシ…。えー?
ま、映画は映画でパワフルではありそうですけどね。