「幻影師アイゼンハイム」

幻影師 アイゼンハイム [DVD]

幻影師 アイゼンハイム [DVD]


公開当時、劇場で観たいと思いつつ(お目当ての俳優が出ていないのにこう思う作品は私にとってはマレなんですが)、時間が合わなくて結局観られずに終わった作品。DVDにてやっと観られました。
うわ〜〜〜〜。これはやっぱり劇場で観たかった!
予想していた以上に良かったです。
観終えた後、まず最初に「これの原作が読みたい!今すぐ!」と思いつめ、ベッドに入ってもなかなか寝付けないくらい興奮冷めやりませんでした。
で、翌朝一番に図書館に行って、原作を読みました。その話は後で書きます。まずは映画のほう。


おおまかなストーリーはこんな感じ(アマゾンの紹介文から)。

19世紀末ウィーン。ハプスブルク帝国末期の芸術文化の都では、大掛かりな奇術=イリュージョンが一世を風靡していた。なかでも絶大な人気を誇っていたのは、アイゼンハイムという名の幻影師。ある日、彼は舞台の上で幼なじみのソフィと再会する。今では、皇太子の婚約者として注目を集める彼女は、その後ほどなく皇太子邸で謎の死を遂げてしまう。謀殺の噂も沸き立つ一大スキャンダルの最中、アイゼンハイムはソフィの幻影を蘇らせる前代未聞のイリュージョンを発表するのだが…。


とはいえ、前もって語られるストーリーに意味なんかありません。あらすじ的にはベタだし。
面白さはその「見せ方」にあるのです。
たった4人の人物しか動いていないというのに、畳み掛けるように謎が満ちてゆく。そして驚きの結末!
全てが終わった後、張り巡らされた伏線に気づかされます。映画全体が壮大なイリュージョンなのですよ〜。
演出もすばらしい。19世紀末のウィーンという舞台に似合う幻想的な美しい映像。
CGを駆使して現出したイリュージョンも、当時の人と同じような驚きをもって新鮮に見ることができます。
アメリカではミニシアター作品だったのが口コミで大ヒットになったというけれど、納得です。
これって観た人同士でないと何も語れないし面白さを共有することもできませんからね。ネタばれが許されない作品ですから広報は難しかったことでしょう。


この作品のラストに到るスカーッと抜けたような開放感は、何かに似ている・・・と思い、ああ、これは「ショーシャンクの空に」を観た後と同じ感慨なのだ、と気づきました
後で日本版予告編を見ていたら、同じこと言ってました(この感動は「ショーシャンクの空に」以来だ!みたいな。予告編にそう書いてあるとはいえこれだけでもネタばれかもなぁ・・・)。
もしかして私はとても単純でオメデタイ人間ですから、トリックにまんまとひっかかるのかもしれません。そうでない人にはどうってことない展開なのかも(でも、かのスティーブン・キングも「何度でも観たい!」と大絶賛したというから、そうでもないかな?)。
でもね、自分が見ていること、目の前で見えていることが「真実」ではないかもしれず、物事は思いも寄らないところから反転し、信じていたものとは真逆のものに姿を変えることだってある、という・・・揺るぎないはずの世界がグラリと妖しく捻じ曲がるような感覚は、なんとも魅力的です。
マジシャンの手品やイリュージョン、推理小説のトリックに面白いように騙されて「おお!スゲェ!」と驚ける人なら大丈夫(笑)。大いに楽しめます。


エドワード・ノートンはあまり好きではないんですけど(単に顔が好みじゃないという失礼な理由)、ここではそんなこと関係なく、アイゼンハイムそのものと化した姿にひき込まれました。
ステキだったのはポール・ジアマッティ演じるウール警部です。
皇太子とアイゼンハイムとの間に挟まり、いろんな葛藤を抱えてゆく人間臭くも愛らしいウール警部。
ビジュアルも好きだ!ナイスおやじ。
・・・ってか、ジアマッティがリアルで自分より1こ年下だってのはかなりショック(爆)



ある意味この物語ってウール警部物語、でもある。
この人の目線で語られるから、そこにはおのずと彼自身の人生も見えてきますし。
権力志向で、保身に一生懸命だけれど、分別を持つ、いい意味でも悪い意味でも庶民的な男。
彼はアイゼンハイムに出会って少しずつ変わってゆく。
ラストシーンのウール警部は一番の見どころですが、「はしょりすぎ」という意見もあるようですねw 
ま、あれはあの勢いで正解!だと私は思うのだけども。
あんなところでいちいち懇切丁寧なご説明は要りません。そこは聞かぬが花、ということでね。