「結末のない事件」レオ・ブルース


今年から読書の記録をつけよう!と思っていたんですが・・・難しいですね。
音楽や映画の感想は書きやすいのだけど、どうして本の感想って書けないのだろうなぁ。
とりあえず、何を読んだかだけでも覚え書きしておこうと思います。


年明け最初に読んだのは往年の英国ミステリー作家レオ・ブルースの「結末のない事件」でした。

結末のない事件 (Shinjusha mystery)

結末のない事件 (Shinjusha mystery)

大きなお屋敷で客人が殺され、容疑者としてそこの主人が捕まる。その無罪を証明してくれとの依頼を受けて私立探偵が動き出す。凶器はナイフ。部屋には砒素入りの酒。不審な人物の影。行方不明のお金。不倫の噂。執事やお手伝いがさまざまな証言をし、容疑者には不利な根拠が積みあがってゆく・・・という、ものすごく古色蒼然としたスタンダード(?)な展開なのですが、これがそこらの小説と違うのは最後16ページの「種明かし」です。(事件解決、というよりまさに「種明かし」なんですよ)
まさに題名どおり(?)に結末がない事件となっていて、「え?このまま終わるんかい!」・・・ってな物語の進行に唖然としながら、最後はきちんと締めくくられる。今まで読んだことが無かったタイプの斬新な手法でした。
この解決方法を面白いと思えるかどうかがこの小説の評価を二分すると思いますね。
1930年代の事件ですから、DNA鑑定も無ければ防犯カメラも無く、そういう意味では今の時代を舞台にしたのでは書けないタイプの小説です。
ある意味アバウト。でも、昔ながらの本格の醍醐味が目いっぱい詰まっていて面白かったです。
真田啓介氏によるあとがき(解説)の巧さと面白さも特筆すべき点です。
私にとって(というか、多くのミステリマニアはそうでしょうが)ミステリーとは事件を楽しむものではなく、事件の真相の証明に至る道筋と、それを描写する作家の演出の巧みさを楽しむものです。
そういう観点から見ると、この作品は事件そのもののつまらなさと方法の面白さ(それも小説家が実際に小説を書く側としての見せ方に工夫を凝らしていたりという舞台裏が透けて見える感じの面白さ)がせめぎ合ってるような作品でした。
事件そのものはちっとも面白くも謎めいてもいないので、エキサイティングな事件性を求めるタイプの読者にはちょっと不向きかな?


私はかつて本格ミステリーのマニアだったんですが、ここ数年推理小説はあまり熱心に読まなくなっていました。新作に面白いと思えるものがなかったせいもあって遠ざかってしまってたのです。基本、翻訳ミステリが好きなのですが、一時期残忍なサイコ・ミステリが主流になってイヤになってしまったんですよね。
ところがふとしたことで昨年末からちょっとミステリーづいていました。
久しぶりにE・Sガードナーのペリーメイスン・シリーズを読みたくなって押入れから取り出して何冊か再読したのがきっかけ。
で、面白い新作を探そうとネットサーフィンをしていたときに、どこだかでこのレオ・ブルースの作品がおススメ本として上げられていたのを見たのです。
レオ・ブルースという作家はその名前を聞いたことも無い未知の人だったので、とりあえず読んでみよう、と。
主に1930年代から1970年代にかけて執筆活動をしていたイギリスの推理小説家で、この作品も1930年代の古いものですが、どういうわけか翻訳紹介されたのはつい最近(これは2000年の刊)です。
英国本国でも最近になって評価された人らしく、近年ようやく翻訳モノが出回るようになってきたとか。
思いがけず面白かったので、今また同じシリーズのものを1作目から読んでいます。(元・警察官のビーフ探偵のシリーズと、パブリックスクールの先生であるキャロラス・ディーンのシリーズがある。ちなみに本作はビーフのシリーズ3作目)
出ている翻訳本が今のところ7冊と少ないので全部制覇するのも簡単そうですね。