「初恋」

初恋 プレミアム・エディション [DVD]

初恋 プレミアム・エディション [DVD]

  • 発売日: 2006/11/24
  • メディア: DVD


3億円事件の犯人は実は女子高生だった…という設定のラブ・ストーリー(と、いえるかな)。
舞台は1968年の新宿。
この「1968年」という年を描いているというだけでも私にとっては是非見たい映画だったのだけれど(全共闘誕生の年ですから)、なんで今まで見るのを伸ばしていたかというと、駄作だと思っていたからです。
でもとりあえず見てみないとわからないから見てみよう、と。


…やっぱり駄作でした(哀)。
限りなく間延びした映画です。
ちんたらちんたら…あーーーもーーー。
ムダに冗長なくせに必要なことが何も描かれていないというわけのわからない構成にイライラ。長回しが多いよー。
なんていうかさー雰囲気だけでもっていこうとするんだよね。
あおいちゃんの表情をずーーっと写してバックに音楽、とかさ。なんだそれ。
俳優たちはなかなか健闘してるのだけど、とにかく作りがあまりにひどくて。


脚本も練れてない。ジャズ喫茶にたむろする若者たちの存在感の希薄なこと。背景としてさえ機能していない。
彼らのつながりが不明で、仲間であることさえわからないし、ましてやそれぞれが物語に関係あるとさえ思えない。
全くつながっていないかに見える人を「仲間」とは??
そのくせ最後にいわゆる「アメグラスタイル」で登場人物のその後が示される、という演出が出てくる。でも、それまでの描き方がどうしょうもなく薄いものだから、ポカーンとしちゃう。
誰だそいつ?って感じの存在感しかない脇役の「その後」には何の意味もない。
群像劇だったらそれも成り立つけれど、これはまるで群像劇になってないからね。
不必要なシーンであんなに間延びしてる暇があったら、脇役の人生もちゃんと描かなくちゃよ。
それと。小嶺麗奈チャンをあんなふうに使って欲しくなかったヨ!脱がせるならもっとキャラ立ててよ。ムダに脱がせちゃ駄目だよーもったいない。


どうにもならないところで、出てくる人物がみな現代人ってのもある。
みんな、泣けてくるほどイマ風。
60年代の人間はあんなふうに黙ったままダルく生きてないぞ。ジャズ喫茶にわざわざ来るようなやつは特に饒舌だ。
私は浪人時代に新宿の有名なジャズ喫茶でバイトしてたからこの世界はリアルに見た(80年代だが)。独特な若者が集る場の空気は、もっとムンムンと濃かったですよ。
話し方もあんな風ではない。服装も当時のものではない。姿勢が違う。歩き方も。
古い車を持ってきて、CGで背景を作り、ラジオで当時のニュースを流しても、そこに動く人間が違えば何もかもに違和感が残る。
学生運動的には10月の新宿騒乱(国際反戦デー)が描かれてましたね。ちょこっと。
ビルの隙間から覗いたような構図で、ゲバ棒にヘルメットの集団が騒いでいるところが見える、と。これもどこか遠い世界の話のような描かれ方でした。
こうして当時の風俗がタグみたいにところどころに「わかりやすく」挿入されるからまたチャラく見える。


ま、あまりイイとも思えなかった作品の批判をいちいち書かなくてもいいんですけどね。ダメ出しするのって不遜だし。愚痴はこのへんまでにしておきます。
それでもこの作品について書こうと思ったのには、一つだけどうしても言いたいことがあったからです。
えーとね、それは


私がもし若くて、そばに小出くんがいたとしたら、撃沈されること必至


ってことです。
「もし若くて」という条件付きなので、たとえ妄想とはいえどうもこうもないんスけどね(汗)。
かなり前から小出恵介くんを見るたびに何か心の中でモヤモヤと得体の知れない不安感がよぎっていたのですが、それがなんだかがようやくわかったのです。
なんかもー、とんでもなくイロっぽいんだあの子。
イケてるかどうかってのと色気とは別次元の話ですからね。恋心ともまた別だし。エロは単独で存在し、魅力を放つのだよ。
私の思う官能的な何かが、小出くんの中には充満してる。それが目線一つにもダダ漏れしてる。そう、ポイントはあの目だね。あの目の熱を取ってしまうと、勝村政信になってしまうのだろうなぁwそうなると官能の炎は消えてホノボノさんになってしまうのだが(私的には、ですよ。勝村さんがセキシーじゃないというわけではなく)
ビジュアル自体が私の好みのタイプってわけでもないので気づくのが遅れましたが、そういうことです。
将来どうなるのか楽しみだなぁ。
あまり浅い役ばかりやらないほうがいいと思う(本人、そういう軽めのキャラが好きそうだけど)。今はどうあれ、あの色気があれば絶対に年をとってゆくごとに魅力的になるはずだと思うから。
まぁ、これっぱかしのことですけど、是非言っておきたかったのダ。