日帰り手術

婦人科系の良性腫瘍の摘出のために手術を受けてきました。
簡単な手術とはいえ、手術台に運ばれて麻酔をかけられて…ということを考えると、怖さと不安で前夜は一睡もできず(哀)。
麻酔のため前夜10時から飲食厳禁だったため、一晩中喉の渇きとも戦う羽目に。
眠れないからとネットをぐるぐるまわって関連情報を拾っているうちに、麻酔の怖さとか効かなさとかの体験談ばかりが目に付いて(「静脈麻酔は急に血圧が下がって危険」とか「局部麻酔はろくに効かず、あまりの痛みに絶叫」とか)さらに眠れなくなり、真夜中に一人メソメソ泣いて悲観して萎えまくりでした。
下手にネットの情報に振り回されないように!と、いつも自戒しているのに、気持ちが弱くなってるときはそうもいかないんですよね。アテにならない情報だとわかっていてもビビっちゃう。
私は静脈からの鎮静剤&痛み止めと局部麻酔の連動になる予定でしたが、とにかく痛みがどうこうよりも麻酔が怖くて。
もともと血圧が低く脈も速くおまけに不整脈の持病もちなので、もしなにかあったら…ってのを心配しちゃうんですよ。
昔、(今はもう使用禁止になった)麻酔の副作用で、母が救急に運ばれたことがあるのです。幸い大事には至りませんでしたが、その時はただのメッパの除去手術だったのに、思いがけずに命がけになっちゃって。そういう記憶もあったりして、恐怖心が根強くあるんですよねぇ。


ま、そんなこんなで今日は貫徹でモーローとしながら早朝に病院入り。
待機用の準備室に案内され、手術着に着替えただけで気持ちが弱くなって泣きそうになりました。
前回の手術はボクちゃんを産むときの帝王切開だったから、怖かったけど気持ちを強くもつことができたんですよね。
建設的な手術だし、母としての強さが私を支えていたし、とにかく気持ちは前向きだったわけだから。
でも今回は何を自分の気持ちの支えにしていいのかもわからないわけです。比べようも無いほど小さな処置なのにね。
ただただ「ムダに痛い思いをしている」「病気に負けてる」「もうヤダ」「放っておいて」というダウナー状態。
もう、ちょっとしたことで泣きべそかいてヘナヘナ座りこみたくなってしまうのです。
最初、点滴の針を入れるときにちょっとずれちゃって痛くて…もうそれだけで悲壮感でいっぱい。涙がでてきちゃう。
世の中にはつらい病気と闘っている人が大勢いるのに、この程度で弱気になってる自分が本当に不甲斐ないのですが、気持ちの弱い時は注射するってだけでも泣きたくなる。ひたすら弱い。


やがて「そろそろ行きましょう!」と元気のいいナースに声をかけられ、手術室へ。
うわー。
怖いよぅぅ(涙)。
手術室の雰囲気ってなんであんなに怖いのだろう。暗くて、機械だらけで、ものものしいですよね。
医療の現場で働いている人にとってはどうってことないのだろうけど…こことは無縁の生活がしたいよホント。
手術台にのぼり、足を固定させられる。
これがまた萎えるんですよねぇ。思いっきりメソメソ感がピークに。
だいたいにおいて婦人科なんて診察受けるだけでも萎えるものですからね。だからといってそれを嫌がって遠ざかっていると、もっとツライことになったりするわけで。


続いて、消毒され、点滴に薬品が追加され、酸素マスクを付けられます。
この酸素マスクを付けるとき、ちょっとパニック状態に。
これね、軽くかぶせるタイプのヤツじゃなくてぎっちりと強く顔に密着させるタイプのヤツなんですよ。
あまりもぎゅうぎゅうゴムで固定されるので、「息ができない!」という感覚に陥り気が動転しました。
バタバタもがいていたら、ナースに「深呼吸して!」と言われました。
で、慌てて大きく息を吸ったら…
脳細胞にいきなり色彩の粒が飛び、花が咲いたのです!
不思議とスーッと気持ちが楽になり、なんか脳内快楽物質のようなものがにじみ出るような感覚も。
これはねー、驚きでした。初体験。
脳の中に「色が飛ぶ」なんてさ。曼荼羅とか万華鏡みたいなイメージのものなんですけどね。
LSDとかやったら曼荼羅が浮かぶ、みたいなのを聞いたことがあるけど、こんな感じなのかしら?と思ったり。
そこで初めてやっと気持ちが前に向きました。
灰色だった脳細胞がレインボーに輝きだしたんですから、もうメソメソなんかしません。
恐るべき酸素ボンベ!
人間、酸素吸うと元気になれるんだね。今度、携帯酸素でも買ってみようか?
それが無理でも、せめて毎日深呼吸をしてみたら気持ちのありようが違ってくるかもしれません。


手術自体はものの10分で終わりです。
局部麻酔でもやはり痛みはありました。が、たいした痛みじゃない。全然我慢できる痛さです。
もはや気持ちも前向きだからビビったりもしませんでした。
「これもいい経験だったかもなぁ〜」みたいな、ちょっと嬉しいやり遂げ感、のような気持ちでいっぱいでした。
麻酔が切れるまでの間、2時間ほど寝かせられてはやばやと退院です。午前中いっぱいで終わり。
夕べの心配と恐怖と落ち込みが嘘のように晴れ晴れとした気分です。
切った患部はそりゃとても痛いんですけどね。咳をしても痛い。けれど痛いのも生きてる証だって思うようにするw


ちょっと非日常的な体験をすると、思いがけない思考の変化や発見があるものです。
こういうことがあった日の心の動きはすごく貴重なので細かく書きとめておけたらいいと思うのですが、過ぎてしまった今となっては不安だった時の気持ちの根底を探ることがもうできません。
生きる喜び、生きる辛さ。気分ひとつで変わる世界観。
日常に戻ってしまった今ではもう、実感として思い出せないんですよね。
残念だったな。ネットなんて見てないで何か文章を書いておくんだった。普段じゃ絶対書けない事書いたろうになー。
せめてそういうところで収穫があれば、あの思いも無駄じゃなかったと思えるのですけどね。


蛇足ですが。
婦人科の病気は早期発見で治るものも多いですから、診療はマメに受けた方がいいですよ。
診療を受けるのに気持ち的になかなか前向きになれないでしょうが、悪くなるともっと悲しいことになりますから。
なんにせよ、健康第一!です。健康だったら、きっとなんだってできますよ。
これからますます病気に縁のある世代に突入してゆくわけでね、ここらでもっと体のことを大事にしないと、と思います。