「新しい風」

新しい風~若き日の依田勉三~ [DVD]

新しい風~若き日の依田勉三~ [DVD]

  • 発売日: 2005/11/11
  • メディア: DVD

一輝主演の偉人物語です。なんと文化庁の作品ですよ。
やっぱどこか堅い。学校の映画鑑賞会で観るようなの。

明治初期、未開の十勝原野を開拓しようと立ち上がったひとりの青年・依田勉三の若き日の物語。
というとフロンティア・スピリットに富んだ立派な人のお話、という感じですけど、これがそうでもない。
維新後の武家の次男坊が、己の活路を求めて目指したのが十勝の原野だったわけですが、農業体験も無いぼんぼんが提案する事は所詮理想論ばかりで苦難の連続。
頑固一徹、ゴリ押し、独りよがりで周りとの軋轢も数知れず…それでも自分の意地を貫き通し、ただただひたすら憑かれたように十勝野に固執した「開拓バカ」のお話でした。
「開拓バカ」って(笑)。
なんかすごい一輝に合ってる気がします。いいキャスティングだったかもしんない(生かしきれておりませんが)。
でも、あの過酷な土地で、ここまでバカになれる人がいなかったら、北海道の開拓はきっともっと遅れていたのでしょうね。
やはり突出したことをやる人っていうのは凡人じゃなくて、バカになれるくらい一つのことにがむしゃらになる人なんでしょう。
二束のわらじとか、何かのついでに、なんていう力の入れ具合じゃ、フロンティアにはなれんのね。
維新から明治にかけてというのは、そういう「○○バカ」ってのが多かったんじゃないでしょか。そういう人たちが現代日本の基礎を作ったのだよねぇ。


映画としてはあまり面白くはないです。
難は脚本と演出かな。
富田靖子はなんだか見ててものすごくくたびれる感じで、感情の変化が読み取れないですし、風間とおるやキタロウはなんだか衣装を着て「板の上で」お芝居をしているよう。(うまく言えないけど、次元が違うような違和感があるの)。
一輝はいつもどおり、無難に上手いんですが、もともとの人物描写がちょっと曖昧なトコあるので、中途半端なイメージ。
撮影時、一輝はヒゲをセメダインで付けてたんだっていうけど、すでにそういうところからして役作り的に「らしくない」わけだね。
(撮影中、そのセメダインヒゲが気になってツラくてたまらなかったらしいからなおさら)
とはいえこの作品って、「こういう人がいた」というのを知らしめるために作られた啓蒙映画のようなものなのでしょうから、きっとこれでいいのでしょう。