チェロとピアノの夕べ

演目

(ピアノ演奏)
ハイドンピアノソナタ 第46番 ホ長調
(チェロ演奏)
サン・サーンス「白鳥」
フォーレ「エレジー
カサド「愛の言葉」
(ピアノ演奏)
シューマンアラベスク ハ長調 作品18」
(チェロ演奏)
尾高尚忠「夜曲」
ポッパー「ハンガリア狂詩曲Op.68」
(ピアノ演奏)
ラヴェル「夜のガスパール」〜オンディーヌ、絞首台、スカルボ


ピアノ:松尾久美
チェロ:宮田大
ピアノ伴奏:鈴木慎崇

2007年6月21日(木)栃木県総合文化センターサブホール

またまた宮田くんのチェロ聴きに行ってきました。
思いのほか客の入りは悪いです。
しかも、音楽教室の主催だけあって、学習者であろう子どもの姿(それも見た感じ低学年)が多い。
ここでこの客層で演奏を聴くのはもったいないくらい松尾さんも宮田くんも鈴木くんも上手くて、なんだか「いいのか?これで?」という感じ。
演奏家ってのは大変だね。
小さな子どもの中の一人でも、この演奏で将来への夢が広がればいいのかもしれないが。


宮田くんのサン・サーンスは始めの一音からして美音。
その音にはうっとりとするのだけれども、個人的にはこういう曲が好きなクラファンではないので、「キレイな演奏だなぁ」で終わってしまう感じ。こっちのシュミの問題だけど。
以降の演目はどれも宮田くんらしいノリが楽しめていい演目でした。
気合い入ってましたよー。唸りながら弾いてました。
パートナーの鈴木くんも素晴らしかったです。特に最後の「ハンガリア狂詩曲」。
この掛け合いは情熱的でした。途中、何度か勢い余ってアンサンブルが離れそうになってはまた近づき…みたいな危うさも楽しかったです。
関係ないけどカサドの「愛の言葉」はピアノとチェロのバランスが(もともと)悪い曲だという気がします。
作り手のセンスがイマイチ。もっと気の効いた編曲の仕方があるように思いますが。


ピアノの松尾さんは手堅く無難な演奏をする方だという気がしましたが、最後のガスパールでその思いは一変しました。
聴く前は、こんな超絶技巧の難曲選んで大丈夫なのかなぁって思ったんですが、すごい入り込み方で魅せてくれました。驚き!
連打部は少しムラがあるし、なんというか、アクセントが後ろ側に付きがちなところが気になりましたが、それ以上にこちらの胸に響くものがあって素晴らしかったです。この曲をこれだけ聴かせられるのって凄いと思いますよ。
ただ一つ残念だったのは、ご本人もショックだったと思うけど、スカルボの最後の方、クライマックス部分での音の切れ目に客席の携帯電話のメロディが軽やかに鳴り渡ったことですかね。愕然としましたよ。
小ホールだったから、目と鼻の先にいる奏者にも当然聞こえてたでしょう。熱演の最中に、本当にお気の毒なことでした。
ケータイの電源は切り忘れちゃうこともあるんで、他人事じゃないんですけどね。気をつけよう。


松尾さんは近くロンドンに留学するそうです。
宮田くんも「今後の予定は?」の答えに「留学したい」と答えておりました。
お二人とも充分巧いのに、これからまだまだいろんな勉強が待っているわけですね。大変だなぁ。
今後どこまで羽ばたいて行くのか、一聴衆として遠巻きに見守っていたいと思いますよ。