語るに値する青年

斎藤佑樹くんと日本人 (文春新書)

斎藤佑樹くんと日本人 (文春新書)

  • 作者:中野 翠
  • 発売日: 2007/04/12
  • メディア: 新書


新刊ですが、私がこれを買ったのは斉藤君のファンだとかそういう理由ではないんですよ。
なんと!これ、中野翠さんが書いてるのです。
びっくり。
購買動機はそこですよ。
私は中野翠さんの著作をほとんど読んでいます。
もう20年も、その意見に頷いたり首を傾げたりつっこみ入れたりしながら、楽しませてもらってます。
でも、まさか斉藤君ネタで新書一冊書くなんて。
翠さんのキャラじゃないんじゃない?って感じ。
いや、翠さんもじゅうぶんミーハーだと思うけど、その方向性がちょっと今までと違いすぎやしないか?
…大丈夫なんかな。
アプローチの仕方を間違ってたらどうしよう…と、妙な心配をしながら読みましたさ。


翠さんらしく、大筋は羞恥の心を忘れずに書いてらっしゃいますが…
市川雷蔵のくだりは…あちゃー。って感じ。
いかにも書きそうなことだけど、だからなおさら、「やっぱり」感が強い。
雷蔵のグラビアまで付いてるのは明らかにやりすぎ。
斉藤君を語るのにそんなんいらんもん。
人が誰かに関心や好意を寄せる時には、その人それぞれが感じるイメージに支配されるわけだけど、それを普遍のものとして語ってしまうのはどうだろう?
楽しい話だけど、それはちょっと違うんじゃないか。


全体的に、考察や分析も凡庸。
もっと面白い視点が欲しかった。
書く時間が足りてないような、練れてない空気も感じました。
今の時代、ネットの世界には面白い文章書く人や秀逸な分析する人は山のようにいるわけですよ。そういうのを凌駕する何かがなければ、おカネを取って読ませる文章にならないんじゃないか?と思うんだけど。
翠さんだったら、そんなことは百も承知だろうに。
ホントに、なぜこれを書いたのだろう?
出版社からの持ち込み企画だったらしいから、互助会的なモンなんだろうな。
買った私はいいカモか(哀)。
だって、こんな↓帯までついてるし。ミリョク的だよねー。



こりゃ売れるだろうね。
企画勝ち!ですよ。それもアリだね。