「ALWAYS 三丁目の夕日」

TVで放送していたのを録画して見ました、今頃。
「こんなん、見る前からわかってる。レトロ臭が鼻につくようなノスタルジー映画なんじゃん?」くらいに思ってて、別に見る気も無かったんですが、家族につられて見てみましたら
世間の評判どおり、見事に号泣ですよ。
びひーー涙が止まらん!

ALWAYS 三丁目の夕日 通常版 [DVD]

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  • 発売日: 2006/06/09
  • メディア: DVD


これ、すごくイイ映画でした!!!!誤解しててごめんよぅぅ。
リリー氏の「東京タワー」(TV版)が好みから大幅にズレまくってた私としては、こちらも似た系統かと勘違いしてたんですよね。
でも、全然違いました。
「東京タワー」は作者の気持ちがあまりにも前面に出すぎてて(私小説ってヤツですね)作者と感性が違うと、ついていけないものがあるんですが、「ALWAYS 三丁目の夕日」は、物語(群像劇)を淡々と描いているんです。
なので、誰に感情移入してもいいし、どこに気持ちをもっていってもいい。別個に新たな登場人物になって混ざってもいい。
見る者に、そこに一緒に生きているかのような自由な目線が許されているんですよね。
すごくよく練られたいい脚本でしたし、映像もすごい。役者も上手い。何よりもお話が優しい。


子どもたちが、とにかく可愛いんです。泣けちゃう。せつなくて、いじらしくて、とんでもなく可愛い。
子ども(という存在)はいいものだなぁ〜と心から思えるのですよ。状況は今より全然過酷なのに。
この映画のいちばんいいところは、私としてはそこでしたね。
平成の社会とは子どもをめぐる周囲の大人たちのトーンも違う。平成の子育てにも昭和の流儀は大いに必要だと思う次第です。


あと、吉岡くん演じる茶川センセですね。センセがすごく良かった。
私は、薬師丸ひろ子が演じてたようなお母さんになれたらいいなぁ〜と思いつつ、でも自分の本質はものすごく茶川センセだったりするなぁというのをひしひしと感じました(笑)。
茶川センセにはね、なんだかちょっとした「すごいこと」を教えられたような気がしたんですよ。
それが何かは、うまくいえないのでナイショですけど。
センセと淳之介くんとの万年筆のくだりは、ドラマ的にももちろんですが、なんだか個人的にもせつなかったです。


私も、一番忘れられないプレゼントが、万年筆なんです。
そして、それをくれた人の期待に沿えずに、ここまで過ごしてきてしまったことなどを、ふいと思い出したりしたのです。
その申しわけない気持ちとか、不甲斐なさとか、大事に思ってくれている人がいることの嬉しさとか、夢とか希望とか、「いまだ覚めず池塘春草の夢/階前の梧葉すでに秋声*1」とか、そういうのを。
万年筆には万感の想いがあるよね、淳之介くん…って感じ。
映画を見て、自分を重ね合わせることって滅多に無いんですけど、なんだかこの映画は他にもいろんなところに少しずつ「私」がいました。
私も立派に昭和の庶民、っていうことなんでしょうかね。
続編は絶対に映画館で見ますよ!

*1:作者不詳漢詩「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず。未だ覚めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢、階前の梧葉(ごよう)已(すで)に秋声」より。要するに、「若いと思って夢見がちにしているとあっというまにトシとるんだよ。ほら、もう秋風が吹いてるよ。」ということです。