鳥が星形の庭に降りるときアタシは眠りに落ちる。

昨日、ボロジャによるエヌ響10月定期最後の演奏会に行ってまいりましたよ。

演目

武満 徹 / 鳥は星形の庭に降りる
バルトーク / ピアノ協奏曲 第3番
ラヴェル / 「ダフニスとクロエ」組曲 第1番&第2番

指揮:ウラディーミル・アシュケナージ
ピアノ:エレーヌ・グリモー

2006年10月7日(土) NHKホール


まずは演奏の感想を…と思ったのですが、ぶっちゃけ


感想がろくすぽナイ! (滝汗)


というのが、正直なところです。

なぜそんな事態になってしまったか?
原因はたくさん考えられます。
「曲が好みではなかった」(主にタケミツ)、「曲自体を知らなかった」(主にバルトーク)、「充分な予習をしなかった」(主にラヴェル)の理由のほか、「腹が痛かった」、「前のオヤジの頭がジャマでマエストロがよく見えなかった」、「前夜の睡眠不足がたたって眠ってしまった(爆)」などいろいろあるのですが、一番大きい理由は、「気が散って集中できなかった」です。
音楽を聴く時はできるだけ無心で、音に心を添わせて…と、心して臨むようにしているのですが、何か考え事などがあるとそこにとらわれてしまって、その外側で流れる音楽は、「音楽」でなくただの「鳴り物」、単純な「音」と化してしまいます。心に響かない。
昨日の私は、そんな感じでした。
始終考え事に囚われて、いつの間にか演奏会が終わってしまった。
そしてそれは私にとってかなりショックなことで…平静を装ってはいましたが、本当はかなりの脱力感に襲われていたのでした。
家族に留守番させて大枚はたいてエヌHKホールくんだりまで来て、なにやっとんじゃワレ?と。
「楽しんでおいで」と送り出されたのに、ろくに楽しめなかった私は、家族にまで申し訳ない気持ちでいっぱいです。ものすごい無駄遣いしてしまってごめんねダーリン(涙)。
コンサート通いはマジでもうやめよう、と思いました…その時は、一瞬。
一夜明けたら、もう微塵もそんなこた思っていないのだが(^^;;。


そんな中でも、かろうじて「ダフニスとクロエ」の華やかさ、楽しさと、ボロジャの嬉しそうな指揮姿だけは心に残りました。
ほんと、これっぽっちです。
ろくに演奏も聴かずに印象だけ云々するなんて、エヌにもグリモーにも、もちろんボロジャにも申し訳ないことですが。
(片手で握れるだけのキャンディを掴んで取れる、という)キャンディのつかみ取りサーヴィスで、おのれの不手際ゆえに取れるものをポロポロと取りこぼし、結局1個しか取れなかったじゃんよ、ナニやってんの〜という「これっぽっち」感に似ています。
誰のせいでもありゃしない、みんなオイラが悪いんですよ。
でもね、「これっぽっち」でも、それが美味しければいいんですよね。
「コンサートでひとつふたつでも楽しめた部分があるならそれでいいじゃん。」「一度にたくさん吸収しようたって無理」「ボロちゃん見に来てるんだから見られただけでもマシだと思え」と。そう思うようにはしてるんですが…一度ヘコタレタ気持ちはなかなか元には戻らないもんです。
私はいつだってとんでもなく自信がないんですが(クラ初心者だからと言うのは別として)、こういうことがあると、もう、「いいよいいよどうせアタシなんかっっっ(涙)!」という気になります。
それを引きずってしまった。今でも引きずってます。*1


終了後落ち合った「モメ」のラフォちゃんと同行のジマイマさんに、「ボロジャの指揮姿がカワイイ」くらいしか語れるものがなく、馬鹿丸出しの自分にさらに落ち込みました。
ラフォちゃんはちゃんと予習もしっかりしてるし、いつもながら感想も的確で、ひたすら感心するばかりです。あまりに与太郎な自分にガックリ。ああどうか呆れないでラフォちゃーん(汗)。


とはいえ、コンサートの感想がこんなワケわかんない繰り言だけではナンなので、気づいたことなど書き留めておきます。


第1部は1階左翼12列目の10番台に座って聴きました。



位置的には音も視覚的なものもなかなか良かったんですが、2列前に異様に座高の高いオッサンがいて、ちょうどボロちゃんの見える位置に頭がかぶってしまっていたので、私はずーっと首を曲げてオッサンの頭を避けながらステージを見るハメに。そしてその姿勢のまま寝るハメに(爆)。
演奏会で座高が高い人が姿勢良く座ることは迷惑ですな。もうちょっと背もたれに深く腰掛けていただきたい。そうでなくともアナタなら充分ステージ見えるでしょうに。
つか、寝てしまった自分に自己嫌悪。あー。
グリモーはキレイでした。思ってたよりもイイ女っぷり。演奏の良し悪しは全く私には判別不能です。すみません。


1部が終わって休憩時間に、ジマさんが席を交換してくれるというので前から2列目の一番左端の席に移動しました。



ジマさんは指揮者が近く見えるからということで、親切心でこの席を私に勧めてくれたのですから、そのご好意はとても嬉しいし、会場のいろんな席で演奏を聴いてみるのは滅多にない機会だし、儲けモノで大歓迎!てなものなので、席を換えたこと自体は全然OKなんです。が、それは置いといて。
この席は劣悪でした。とてもA席とは思えない。
確かにボロジャの横顔はすごくよく見えました。「ダフニスとクロエ」第2部の冒頭で、たまらなくトロけそうな笑顔をこちらに向けて見せてくれたことなどは至福の極みでありました。それと、演奏が終わって舞台袖に引っ込む時に、チラと視線を投げてニッと笑ってくれたことも嬉しかったです。
でも、音は悪いし、オケは見えないし(ウィンド・マシーンなる楽器を見るのを楽しみにしておりましたが、見られずじまいでした)、まるで除け者になった気分にも。
ここでも「私は何しに来たんだろう?」という煩悶で胸いっぱいに。
3階桟敷などの遠い席にいるよりも、寂しいものでした。
だって舞台より下に自分がいるんだもん。ネズミになった気分。
でも、いい経験さしてもらいました。ホントに。


ま、そういうわけなので、この演奏会について私は何をも語れません。
こういう日もあるね。
こういう日が重なって、だんだん引きこもって、「レコ芸」愛読しながら盤鬼になってゆくのもまた一つのクラヲタ道でしょうか。それもいいかもな。
それでも私はまたコンサート会場に足を運びます。やっぱりオケをじかに聴くのがスキだから。
ああでも、次からは予習をする気力も湧かないような演目を聴きに行くのはやめよう、と思います。いくらボロジャでも。


とりあえず、次にボロジャに逢えるのは来年です。来年2月。
初っ端は、マーラー4番です!
ぶひゃー。これはもちろん行きますよ。ボロジャのマラはちょっと不安ですけど *2
来年2月期はマーラー、チャイコ、R・シュトラウスと、「絶対に寝るわけないじゃん!」と太鼓判押せるほどの、私好みのプログラムがゾロゾロあるので、嬉しい悲鳴です。
全部行くとなるとタイヘンなんだけどね。どうしましょ。
来年のことを言うと鬼が笑うかw。

*1:全く関係ないのですが、先日、「イロモネア」でタカ&トシのタカが、アホ毛&パンツ丸出しのテンパッた姿で「自信なんてもったことないですよっ!」と叫んでいたのが、とんでもなく可愛く、妙にイトオシく、親近感が湧きました。
私もいつも自信がない。同じだ、と。
で、ふと気づいたのだけど、私が物事を「わからない」というのはバカだからだし「わかろうとする」のはバカではイヤだからです。>ジマさん(えーと。ランチ食べながら話したことです。覚えてる?)
あの時、「知ることが楽しいから」と答えたのは、半分ホントですが全てではない。自信のなさがそうさせるというのもおおいにあるのです。私はジマさんがいつも自信満々に見えるんだけど、それは年齢的なものなのか何かコツがあるのか知りたいですよマジで。
それと、こんなところでナンですが、ドリちゃん、おいしいお店に連れて行ってくれてありがとう♪以前行きたかったのに行けなかったお店(「権八」です)やっと行けました。美味しかった!

*2:って、こう書くとなんかすごいシモネタ風味w