トックリ・トリオの美しきチャイコ

ここのところ寝ても醒めてもショスタコ聴いていたので、だんだん何か息が詰まってきました。
一気食いした焼き芋が胸んトコに詰まってるような感じ。重い…。
ショス様はカッコイイのだけれど、ちょっと世界観がアレなので、平和で穏やかな日常にフツーに置くにはどうもシンドイ時がありますね。


というわけで、聴いてて幸せになる音楽が聴きたくなってきました。
いや、ショスさん聴いてて幸せではないというわけでは決してないんですよ。
ただ、それとはまた別の幸せも欲しいのです。
ロマが欲しいの。秋なので。


昨夜はベッドで編み物をしながらこれ↓を聴きました。


チャイコフスキー : ピアノ三重奏曲イ短調

チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出」

こないだ再販された名盤。
もうね、このジャケ写を見てるだけでトロケますからね。軽くご飯3杯イケちゃうくらいステキ。
演奏も、とてもイイです。この3人がやってて良くないワケがない、てなもんですが。
イツァクがボロ君を手招きするかのように朗々と歌い、ボロ君はそこに導かれるように忠実な糟糠の妻のようについてゆく。でもって、遠くからハレルがまったりとその2人の駆け引きを見守っている…という感じ。
う〜ん、ボロ君を弄ぶイツァクが……好きだーー!
このうっとりと色っぽいヴァイオリンったらどうだろう。そしてこの、ちょいと苦悩が漂うセツナいピアノといったら!
絡み合う2人に萌え。ハレルがいなかったらこの2人、どこまでイってしまうのか心配!という妄想ももれなくついてきます(おい(汗))。


楽曲自体はシアワセというよりも、どちらかというと悲しげな哀愁漂う曲です。
この曲は、チャイコフスキーが親友のニコライ・ルービンシュタインが亡くなった時に作った哀悼の曲なので、最後なんか葬送ですよ。とんでもなく寂しい。でも、なぜか甘い。センチメンタルで、ステキなのです。きゅーーんと心に沁みます。
かなりベタな泣かせのメロディなんかもあるんだけども、そこがまた最高です。


やっぱりチャイコはイイなぁ。
暖かくって、おセンチで。洗練されてもないけれど、ロマンティックで、深い自我を持っていて…優しいですね。
とても好き。
あー。でもチャイコの中でも「悲愴」だけはどうしても夜一人で聴くことはできない。怖くて。
終楽章も怖いけど、一番怖いのは2楽章です。
明るいダンスミュージックなのにとんでもなく怖い!
とっくに船は沈んでしまったのに踊り続けるタイタニック号のダンスホールの人影…みたいなイメージ。
眼前に広がるのは明るいシャンデリアの輝くホールなんだけど、フラッシュバックで、暗い海の下に沈んだ朽ちた船が現れる、というような。
ウチの旦那はこれを「(スタンリー・キューブリックの)「シャイニング」のイメージ。」と言ってます。そうそう!それも言い得てる。
とにかくこの楽章の怖さはクラ界屈指だと思います。(もちろんこの後の最終楽章があってこその対比としての効果が大きいので、2楽章だけ聴いてもこの怖さは浮かび上がらないのですけどね)
とはいえ、怖さも楽しさのうちだし、ここまで壮絶な美しさを湛えた曲って他には無いようにも思えて、大好きなんですけどね。