ボロジャのベトベン in サントリーホール

うひー。待ちに待ったエヌ響サントリーB定期!行ってまいりました。
書きたいことがたくさんあるじょー。

曲目
ベートーヴェン交響曲 第2番 ニ長調 作品36
ベートーヴェン交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
N響 アシュケナージ指揮 サントリーホール
(06/9/27)

今回座った席は、オケの真後ろのP席。
これはもう、必死で取った席です(笑)。なぜなら、ボロージャの指揮姿を、一度でいいから真正面で、ずーっと見ていたかったから!*1
なので、音は捨てたつもりでした。
すごく音のバランスが悪いだろうと覚悟していたし、ちゃんと聞こえなくてもしょうがない、と。
でも、ベトベンの2番3番だから、まぁ、いいか、という気持ちも大きかった。この演目に関しては、たいして期待してなかったのでね。
ウチにはベトベン狂(←旦那です)がおりますので、この演目の音源や映像はたくさんあるんです。ずっと前から、いろんな人の演奏を聴いて(聴かされて)いる。それらの往年の名指揮者より、何か、ボロジャが抜き出たことをやるようにも思えない。きっと、なぞったような演奏なんだろうなぁと思っていました。
しかも、私には3番に関しては決定版がある。
私にとってのベトベン3番…それは、パーヴォ・ヤルヴィの演奏なの。
これがもう、とにかく衝撃的で。実演でガツーンとやられちゃったし、映像だってもう何度も何度も見てて、指揮の振りまで覚えちゃってるくらいなんですよね。あ、ここで息を吐くんだよね…とか、ここで右手をクイッと曲げるんだよ〜とか。そういう映像付き音楽が脳内に流れちゃってる。
とにかく信じられないくらいカッコイイんですからして、パーヴォは。見るたび惚れ惚れする。
というわけで、申し訳ないけど3番でボロジャがパーヴォを越えるとは思えないのよ。
それでもボロジャが大好きな私は、その姿だけでも見える位置にいたかったわけです。ごめんなさいね、ミーハーで。


実際演奏が始まってみると、音のアンバランスは予想外に心地良く受け止められました。
管の音、コントラバスの音はやや大きく、バイオリンとチェロの音がどこかスリ硝子を通した向こう側で鳴っているような感覚なのですが、その、ちょっと遠い弦の音が、なんというか…案外良かったんだよねw想像力をかきたてられるというか。
たとえばさ、マッチウリの少女が路上でマッチを売っているときに、どこぞの窓辺から楽しそうな音楽が聞こえてくるような…といったら言い過ぎかな(笑)。でもそれに近い幻想的な感覚が、ちょっとあった。
音というものは、整っているからとかバランスがいいからいい、というわけでもない。人間の想像力はキャパ広いんです。聴こえ方によって想像力も感興も変わる。侮れませんヨ(笑)。
ま、それは作曲家の意図とは別の所産になりますから、邪道な楽しみではあるけどね。


位置的に金管が近かったのですが、管の音がデカすぎるということはなかったです。ティンパニはちょっとデカかったけど。
コントラはこんな感じで少し大きめに聞こえたほうがカッコいいかも、とか思ったり。
そういうわけで、悪くない、不思議な感覚で聴けました。
案外いいじゃん、P席。
でもって、ずーーーっと指揮者の表情が見えるのがやはり素晴らしく良かった!
オペラグラス持っていきましたが、なくても全然平気なくらい、近くに見えるしね。
こんな経験初めてなので、嬉しくってたまらん。
あの顔をずっと見てて何が楽しいのか、とか言わんで(笑)。
ちなみにしっかり袖まくりしてましたよ。前回、袖まくってないとか書いたけど、きっとあの時もしてたんだろうな。正面からじゃないと、よく見えないってことです。


さて演目の感想ですが。
2番交響曲は、なんだか印象が薄い感じでした。
2楽章では音のバラつきが感じられたし、何も目新しいこともなく、特徴もなく(ちょっと軽かったかな?)別に胸にも響くことなく(爆)、淡々と聴いてしまいました。
でも、悪くもなかったです。とにかく普通な感じだった。


で、3番「英雄」ですが。
これ、予想していたよりも良かったです。すごく楽しめました!
1楽章は舞曲みたいに弾んでいました。軽快な感じで、華やかなイメージ。
2楽章のオーボエのソロ、茂木タン、イケてましたよ。茂木タンはスタンドプレイだとかでしゃばりだとか(私の周囲では)言われてますが、私は嫌いじゃないです。あの、オーボエを高く上げて吹くスタイル、「ライジング★スター*2じゃないんだからさw」とか言われてるけどね(笑)。
今日もまた高く掲げて朗々と鳴らしてましたが、とってもよかったと思います。ステキに聴こえたのは私がP席だったせいかもしれないけど(汗)。
それとバイオリン陣が皆、とても素晴らしかったのでした。導入部の堀さんの音もすごくキレイな響きでしたし。うっとりです。
4楽章の最初、いっせいに鳴らすところで何か大きな物音がしました。
何があったかは見えなかったんですが、誰か譜面台か何か落としたのかな?ガシャーンと、わりと派手な音がしたのね。
その時、ボロージャがすかさずニコッと微笑んで(「ドンマイ!」みたいな)フォローしてる風だったのが胸キュンでした♪
さすがボロちゃん、そういうところは気遣いの人の本領発揮だな〜。イイ人だ。
でもって4楽章は私が一番好きなフレーズがあるので、そこがどう来るか、手に汗握る思いでした。そこに至るまで、思いっきりドキドキしちったよ。
4楽章の途中でロシア風のメロディによる展開が1箇所だけ入るんですが、「英雄」といったら私にとってはこのフレーズ!ってくらい好きな場面なんです。ここがヘボかったら全てダメ、くらいな。
その部分もボロジャはきっちりきれいにまとめておりました。
良かった〜。満足!
やっぱり3番はオケの正面で聴きたかったなぁと、この時ちょっぴり思いました。
でも、これTVでも放送しますからね!こうご期待、よ。
あ、私も写ってるかもわからんね、P席だから。ただの人影として、ですが(汗)。
ラジオではすでに今日、生中継で放送したようです。


予想外にとてもいい演奏を聴けた喜びに満たされましたが、指揮姿に関してはやっぱりボロ君、パーヴォの比じゃありませんね。わかっちゃいるけど、どうにもこうにも「いっぱいいっぱい」な感じです。そこもとてもイトオシイのですがね。
パーヴォとボロジャを比較してみて思ったんだけど…
パーヴォって指揮を振ると、振ったタクトや指先から、音楽が流れてくるのですよ。
流線型を描く指揮棒の残像が、そのまま音楽になってゆく。ポロポロと、音が生まれては流れてゆく。まるでそれは魔法使いのようなのです。
対してボロージャは、振った指揮棒の先で音を引き寄せている。指揮をしながら、音をかき集めている感じ。
だから、一生懸命引っ張っている。音を。
「音をくれ!」とタクトが叫んでる。で、時折、呼び込みに失敗する。思った音が来ない、というような。で、焦る。どわっと汗をかきながらテンパってゆく。そういう、労働者のような指揮を振る。
これ、自分でも上手いこと言ってると思うんだけど、どう?(笑)


ああ〜、もっといろいろと書きたいことがあるけど朝になってしまう!興奮状態ではあるが寝なければ。
ということで、明日に続きます。

*1:サントリーホールは今度、改装に伴い長期休館するので、エヌのサントリー定期がなくなるんです。そうこうしているうちにボロジャの在任期間も終わりますので、次に正面から見られる機会がいつ来るのか不明なのです。NHKホールに舞台裏席は無いしね。

*2:のだめカンタービレの大学生オケ。茂木タンはエヌの中にありながらエヌの匂いがせず、ライジングスターテイストな感じがする。軽い。いいのか悪いのかわからんが。