ボロージャのショスタコ祭り

エヌ響新シーズン開幕ボロちゃん第1弾です。オール・ショスタコ・プログラム。

演目

ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77
ショスタコーヴィチ交響曲 第10番 ホ短調 作品93


[指揮] ウラディーミル・アシュケナージ
[ヴァイオリン] ボリス・ベルキン
2006/9/23 NHKホール
第1577回定期公演 Cプログラム 
N響創立80周年記念/ショスタコーヴィチ生誕100年

コンサートで一番大事なこと。
それは「遅れずに会場に着くこと」です。
遅れないために、いろんな判断をして的確な時間に動けるようにしなくちゃならない。
でも、私にはそれがわりかし難儀です。いつも時間ギリギリだ。
今日も、まず出かけるのに手間どり、予定時間をオーバーして外出。当然、電車の時間はギリギリ。ホームで全力疾走。だってそれ逃したら次は30分後で、そしたら開演に間に合わないし!
そんな切羽詰った状態でさらに渋谷で迷子になり、時間を大幅にロス。
公園坂の上り坂を息せき切って走り、足は痙攣するは、汗だくで化粧は落ちるわでもう大変。
でもって会場に着いたのは開演5分前という…ものすごく「いつもどおり」の展開でした。


こういう状態で会場に着くと、たいてい同じような感覚に陥るのです。
演奏が始まっても、なかなかそこに気持ちを持ってゆけない…というね。
これは本当に、本当に、馬鹿馬鹿しいことです。すごい損失だ。
今度からは「過剰か?」と思えるほど早め早めに行動しよう…と、こういうことがあるたび毎回思う。
今度こそマジで思ったぞ。次からはプラス1時間の計算で動こう。

そんなわけで、第1部のV協は、気分的にイマイチ浮いた感じで聴いたのでなんとも言えないかもしれませんが、やはりベルキンのバイオリンは(CDだけでなく)ナマでもあまり「歌って」いないような気がしました。ああ、弾いてるなぁーと思う。上手く言えないけど。
でも、そんなことを言ってしまっては申し訳ないくらい、この曲を演奏するのは大変ですね。実際の演奏を見て、ホントにもう、無条件でその難しさに目眩がしました。(フィルムで見たオイストラフはずいぶん軽々弾いてるように見えたけどそりゃ錯覚!)
これ、ふつうに弾けるだけでも凄いよ…って、ものすごい程度の低いこと言っててスミマセンが。
ま、でもそれでも聴衆としては難易度を慮るよりも音楽を聴くことの方が大事なので、あえて言いますけどね。
ベルキンの印象は、一言で言えば「弾きっぱなし」という感じです。「弾きますよ!はい、弾いたー!すごいだろ?」みたいなイメージ。
で、この曲は案外とロックなので、リズム感が大事だと思うんですが、そこが彼の場合ベタなんですよね。軽快ではあるんですけど、タテにノってないっていうか。なんだろう?軽くてベタ。
この曲は重くてピンピン跳ねてるのがいいなぁ〜と個人的には思います。(要するに好みの問題か)
オケもなんだかバラけた印象でしたね。


第2部の交響曲10番は、素晴らしかったと思います。ボロージャ、ステキでしたよ。1楽章、ちょっと腫れ物に触るような感じでしたけどね。その押さえ具合が良かったかも。
キメの部分もバッチリでしたね。圧巻は打楽器陣です。そこがとても上手いので、全体がとてもシャープに聴こえました。機関銃の音のような精緻なスネアが良かった。
これは地方オケとは比べ物にならない部分ですねぇ。さすがエヌさん。
10番に関しては、何も言うことは無いです。聴けて良かった。でもって、もっとボロージャのショスタコを聴いてみたいと思いました。


全体を通して、DSCHのショスタコ・ループ*1に絡め取られて巻かれて翻弄されて「ひー!」という感じのコンサートでした。
この音階、そろそろ病みつきかも(?)。


さて。ボロジャですが。
しょっぱなから今日の彼は不機嫌!
ベルキンの演奏が終わって挨拶にでてくる時も、ベルキンが笑顔で一緒に挨拶をしようと促すのに、頑なに固辞。再三にわたって固辞。頑固ジジイ丸出し。
そりゃもう、「あ、何かあったな。」という匂いプンプンです。すぐに感情が態度に出る人。ケンカでもしたか?ん?
まぁ、2部には機嫌も直り、少し笑顔が出るようになってました。でも、ハイな時のオチャメぶりは今日はナシね。
で、アンコールも無く(え?エヌ響って定期ではアンコールいつもナシなの??)、なんだか素っ気無くおしまいになりました。


で、アタシのチェックポイント。


その1・なぜスコアがポケットスコアなのか??…10番の時、ボロジャのスコアがポケットスコア(よりは少し大きいか?スタディスコアってやつ?とにかく小さいやつ。B5以下サイズ。)でした。「なぜだ?見えにくかろうそれでは」と思っていたんですが、演奏後にボロジャはそのスコアを高々と上げて、何をかアピールしていたので、たぶんアレは思い出の品とか、そういうものだったのかな?謎。


その2・サイン、フル回転。…ボロジャは指揮を振るときに野球の監督がベンチでサインを出すかの如くいつも同じ動作を繰り返すのですが、今日もそれがフルに出ておりました。パターン化されてるのですね。今度ヒマな時にそこんとこ解説してみます画像つきで。乞うご期待(笑)。


その3・ブレスレットは左手に。…しておりました。ちなみに袖は捲っていませんでした。


ボロジャとは関係ないのですが、ボロジャを見るためにヘラヘラと双眼鏡を覗いていたら、ボロジャ越しにイケメンなチェリストを発見!
こんなイマ風なオケメン、エヌ響にいたっけ?!上目遣いに時々ボロージャを見る仕草もカワイイです。
トラさん*2かしらね?
とりあえず、双眼鏡は演奏中には覗かない方がいいですね。曲に入り込めません。
曲に入り込むのは案外大変です。他の器官を使うとボケる。
飲み食いは言語道断、目でものを見たり、変な匂いが漂ってきたり、どっか痒かったりするともうてきめんにダメになる私の脆弱な聴覚…。


演奏後は私の唯一の大切なボロ萌え仲間、laforumさんとデート。laforumさん、楽しかったですよ!どうもありがとう(^-^)。
演奏後に話ができる人がいるのって嬉しいものです。一人で余韻を噛み締めるのもいいものなんですけど、話して気づくことも多いんですよね。
laforumさんはさすがにご自分でも演奏する人だからいろんなことに気がついているのでした。「なるほど!」と思うことが多々ありましたよ。
私ら2人のテーブルは日本で一番「ボロ濃度」が高い場所だったと思います。だいたいボロジャって言ってるのあたしらだけだし(笑)。お仲間募集中ですよ。条件は「アシュケナージさん」を「ボロちゃん」と呼べる失礼な奴、ですかね。


ボロージャの指揮は、やっぱり「それなり」なんですけど、それでもナマで聴くと「それなり」にもちょっとしたチャームや熱なんかを感じて、それほど悪くも無いジャン?という気に…なったりします。甘い?(^^;;
あ、もちろん演奏の話ですよ。ボロ君本人はヘボいヘボくないに関わらず好きですので。
次回のベトベンでどう出るかは誰も保障してくれないですけどね(汗)。修行ですわ。
次は来週の水曜です。う〜ん、ボロージャ漬け♪

*1:ショスタコーヴィチは自分の名前を音階にした「DSCH」のパターンを署名のように曲に織り込んでいるのですが、その代表がこの2曲なのです。要するに、同じ音階がところどころに出て来るので、曲のトータルイメージが似ているの。それはそれは濃厚な「ショスタコ節」なんですよ

*2:エキストラのことですよ。エヌ響にはいろんなエキストラさんも参加しますので、外の人かもね。