ディミトリが24歳だった頃。

お盆で帰省した実家に「音友」バックナンバーがあったのですが、そこに、ボロージャとディムカ*1の親子共演の様子がカラーで載っているのを発見しました。1994年の3月号です。

↑これは、93年の12月21日に東京文化会館で行われた演奏会の様子。
曲目は、プーランククラリネットソナタ」、ストラヴィンスキークラリネット独奏のための3つの小品」、シューマン「幻想小曲集」他。
アンコールの時に、ファンからもらったペンギンのぬいぐるみをステージに立てて会場を和やかな雰囲気にさせたんだそうですよw。
これってディムカへのプレゼントですよね?もちろん。ペンギンのぬいぐるみを客席からプレゼントするなんて、なにやら香港明星みたいなんだけども(苦笑)いいんですか?そんなノリで。


ディムカのインタビューも載ってましたよ。
↓こちらがお写真。カワイイにゃぁ〜。お育ちの良さそうな素朴なファッションも似合ってます。

インタビュー、少し抜粋。


■「理想的な師と弟子の関係のように、父とはうまく言ってるんです。音楽的なアドバイスをくれることはあっても、意見を押し付けてくることはありません。父も僕も極端なところのないという性格がすごく似ている。2人とも物事を深く考えるたちだから、人生観や哲学、社会情勢など、いろいろなことを話し合って、より深い信頼関係を築いている。父にとっても音楽は人生の大きな部分だから、同じ道を歩くぼくとの関わり方も深くなるのでしょう」
■「父と同じジャンルの兄*2は、ぼくよりもずっと苦労があるようです。ピアニスト同士ですからそれなりに理解しあえるのでしょうが、兄が自分自身のキャリアを積んでゆくのは本当に大変なようです。ぼくはいいピアニストだと思うんですが、父の威光が正当な評価を妨げているのは事実です。兄自身の中にコンプレックスがあるようですし。そういうことは、もちろんぼくにもありますけど、兄よりはずっと少ないですね」
■「こうしてソロで活動できるのは、やはり父がいたからこそです。オーケストラに呼んでくれたり、一緒のジョイント・リサイタルを開いたり。とりあえずアシュケナージの息子という名前だけでコンサートが開けるし、プロモーターの方々も動いてくれる。父の影響のないところで経験を積み重ねていけば、もっと成長できるのだとは思います。でも、積み上げた経験に自信がもてるようになれば、それはどうでもいいことでしょう?とは言っても演奏が失敗して落ち込んでいる時は、そんな風には思えないんですけどね(笑)」


その他、所属している、ヨーロピアン・ソロイスツ・アンサンブルの説明などをしています。
曰く、「弦楽四重奏とフルート、クラリネット、ハープが核となっていますが、人数を増減させて、フレキシブルな室内楽のコンサートを開いています。ピアノで兄に入ってもらうこともあります。メンバーの誰もが対等で、自由に発言できるのがグループの特徴」、だそうです。


ヴォフカもディムカもソリストとしてはどうも弱いような気がしますが(オヤジが偉大すぎるんだろうな)、室内楽奏者として堅実に活動していくのは向いているかもしれませんね。
とはいえ、親子で同じ業界で、しかも父親が偉大だと、苦労が多そうですね。兄弟だからまだいいけど、これ、一人だったら大変だよ。
あ、そういえばヤルヴィさんトコもパーヴォ&クリスチャン兄弟揃って父と同じ道を歩んでいますが、あちらはどうやら子供が親を凌駕しそうな勢いで、頼もしいですね。
そのくらいでないと、父も子もどこかツライんではなかろうか?なんて気がしてしまうのは俗っぽいお節介かしらん。

*1:ディミトリー・アシュケナージ。ボロージャの次男坊で、クラリネット奏者です。ディムカってのは愛称。

*2:長兄ウラディーミル・シュテファン。愛称、ヴォフカ。