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チャイコフスキーコンクールのボロージャ


少し前にこんなCDを買いました。

ロディアから出ている、1962年のチャイコフスキーコンクールでのボロージャのライヴ音源です。
グドンのリストP協1番なども併録されています。


チャイコフスキーコンクール時の演奏は、これまでビデオでほんの一部分聴いたことがある程度のものだったのですが、初めて演奏を全曲通して聴いてみたらば、衝撃のあまり鳥肌がたちましたよ。
もう、最高です!!
もともと私はこの曲がとーっても好きなんですけど、今まで聴いた中でこれ、ダントツにステキです。
もうこの演奏、たとえボロージャが弾いているものでなくても、私は大好きです。ツボがたくさんある。テンポも、音色も、アクセントも、音の入るタイミングも、弦の鳴りも、どれもキュン!とくる。
だもん、これをボロージャが弾いているなんてなれば、もうたまらんよ。
「曲が好き」「演奏が好き」に加えてボロージャ愛しさと当時の映像(私の脳内恋人である20代のボロ君の姿)が蘇ってどひゃーと興奮し、とんでもなく胸が苦しくなります。速攻で恋わずらいに罹患です。


ボロージャは小さな体で、よくもこんなにも壮大な演奏をするね・・・信じられませんよ。驚異だ。
タッチは確実で迷いが無く、堂々としていて、信じられないほど指がよく回る。
で、美音。高音がキンキン響くようなピアノだけれど、それさえ効果的に聴かせちゃう。そして見事に歌がある。朗々と、堂々と。
ただただ圧倒されて、胸が鷲掴みにされるように苦しくなって、切なくなって、泣けてくる。
もう、どうにでもして・・・と、この身を投げ出して捧げてしまいたくなるくらい、色気もたっぷりです。


ボロージャの演奏するチャイコのP協1番は、もう一枚、マゼール&ロンドン響と演奏した1963年のものを持っているのですが、録音年はたった1年しか違っていないのに、こちらはちっともグッっとこないんです・・。
今まではこっちしか聴いてなかったので、こんなもんかと思っていました。
でも、コンクール版のCDを聴いて「やっぱりマゼールのは違う。私には。」と、気づいたわけです。


・・・って、どっちもボロ君の演奏なんだけどね・・・全然違うんですよ。
聞き比べてみると、その差が如実にわかります。
自分がどうして、マゼール版にピンとこなかったのかもやっと説明がつきました。
まずオケの音がシュミじゃない(もたもたしている。ノロイ。もったいつけている。弦の音が立ってない。そのくせ3楽章はセワシなくてザンバラな感じ・・・etc.)
ボロージャのピアノ以前に、とにかく曲全体の雰囲気が好きになれないのです。
すごく上品なんだけど・・・この曲が上品であっても、どうなの?と思うし。
ピアノ自体もコンクール時の演奏とは覇気が違う。眠りそう。
この曲を、こんな地味〜に弾かれては台無しですよーてなくらい。
穿った見方をすれば、ボロージャがこの曲を嫌いだというオーラが感じられる。
もちろんめちゃくちゃ上手いし、とんでもなくきれいに弾いてるのですが、心ここにあらず・・・みたいな感じもしちゃう。1楽章のカデンツァなんかはもう、不貞腐れているとしか思えない覇気の無さです。
もちろん聴き所もあります。
2楽章は洒落てていいし(チャイコっぽくなくなっちゃってる気もしますが)、3楽章のピアノの華麗さは特筆もんです。
でもダメだ。私にはコない。
・・・って、ケチョンケチョン言ってますが、個人的趣味の問題ですからね。正論なわけないんでスルーしてくださいよ(^^;;。


コンクール盤の方は、たかだかコンクールのバック演奏するオケだし、ところどころでえらくバラけてたりリズムがもたったりしているんですが、このオケ・・・なんだか魅力的なんですよ。
粗があっても、華があるっていうか・・。とにかく私の好きな音なんです。それと、ピアノが生かされてる。コンクール用のオケだからそういうとこは上手いのかな?


それにしてもボロージャの豹変ぶりは驚異的ですね。
同じピアニストが一年の間をおかずに弾いた同じ曲がこんなにも違うなんて。
カメレオンマンです。
「この演奏、誰だと思う?」て聞かれたってわかりゃしないよ。
でも、このたった一年にあった出来事を思うと、この話はとんでもなく深くなるだろうと思うわけです・・。それはまた機会をあらためて。
とにかく言えるのは、ホントにこのヒトは無尽蔵だ、ということです。なんだって出てくる。何でもできる。ピアノに関しては、たぶん後にも先にもいない人なんじゃないかな。


こちら↓アルバムのライナーの写真です。

ボロージャとオグドンが載ってるんですが、優等生風情でピアノを弾いてる気の弱そうなボロ君と、ふんぞり返ってタバコ吸ってるオグドン・・・という図です。
なんじゃこの写真のセレクトは(^^;;。
グドンだってピアノ弾いてる写真をいれたげようよ〜。
写真の印象とはうらはらに、オグドンは神経質で病気がちで、精神も肉体も崩れていってしまった命短き人だったわけで・・・どことなしセツナイです。この人のアンバランスさは魅力だと思うんですが・・・。
CDに収録されている、オグドンの弾くリストの協奏曲もまた、とても素晴らしいです。
なんだか、ちょっと異形味のある曲で、オグドンのイメージにとても合ってる気がします。