若き日のマエストロにムチュウ

先日、米国アマゾンのマーケットプレイスで買った「ASHKENAZY OBSERVED」というビデオです(廃盤。中古)。*1
映像作家のクリストファー・ニューペンが21年間に渡って撮り溜めたアシュケナージのフィルムが、「観測記録(?)」としてまとめられているのですが…。
これ…


…はぅぅ(悶絶)。


ビデオ再生しながら「ひゃぁ〜」「ひーぃぃ」と息ばかり吸っちゃって、思わず過呼吸になりかかりました。
だって…
お宝映像めちゃくちゃ満載なんですっ!!!
もう、嬉しすぎ。こんな内容ぎっしりビデオだとは想像してませんでしたので。
ニューペンさん…アナタは本当に心の友ですっ!(ちなみにキーさんの「音楽の贈り物」フィルムを企画制作したのもニューペンさんですよ。素晴らしすぎです。ファンのツボ突きまくり。)
内容をざっと書き出してみます。


最初の年は1966年、ロンドン。フィルムはモノクロ。
じゃれあいながらステージ袖に入ってくるバレンボイムアシュケナージ。二人とも若い!
演奏後の興奮が二人をハイにしている感じ。満場の拍手鳴り止まず、再びステージに飛び出てゆく二人。
続くは二人のピアノデュオ練習光景。向かい合って意見交換しながらピアノを弾いてます。

そして家族との団欒風景。
子煩悩なパパ。
ちっちゃなヴォフカ(5歳)とナディア(3歳)と一緒に遊んでいる姿。「ファミリーマン」ここにあり、という感じ。


1968。フィルムはカラーに変わっています。
ドディと手をつないで街を歩く姿。ロマです。
ホロホロした優しいしゃべり方(今とちょっと違う)にポワ〜ンとなります。
ご自宅訪問。海辺で遊ぶ子供たち。家族の風景。
ロンドンでのスタジオ風景。パールマンとの打ち合わせ。
この二人のやり取りはもう、永遠に見ていたいくらい萌え度高いです。

とにかく私はパールマン経由でアシュケナージが好きになったせいもあり、この二人が一緒にいると顔がにへら〜とユルみます。
なんつってもパールマンアシュケナージを見つめる視線がたまらんのよ。トロけそうにラヴラヴ(←妄想)。それに応えるようにふわ〜っと微笑むアシュケナージも信じられないくらいカワイイ。
場面変わり、再びバレンボイム登場。(登場シーンはまるで映画スターだ!カコイイ)
二人の連弾練習風景。楽しそう。
が、ビジュアル的にはこの二人のバランスは悪い気がします。仲良しだし雰囲気はいいんですが…体型的なアンバランスが気になる。手前に座ったバレンボイムより、奥に座ったアシュケナージの方が座高はかなり低いのに顔がでかい。遠近法を無視しまくって描いた絵を見ているような妙な気分になります。


1970年。アントワープ
とんでもなく仲イイご夫妻のいちゃいちゃ散歩。見てるこっちまでヘラヘラしてヨダレが出そうです。
二人はいつも手をつないでいる。お互い支え合っているような、「二人で一人」の風情があるんですよね。ここに5人の子供たちが加わるんですからね・・・なんかもう、絵に描いたように幸せですね。幸せがあるから、アシュケナージはあれだけの仕事ができるんだろうなぁ。

けれど、ステージ裏で夫の演奏を一人で聴くドディは心なしか寂しそう…。
拍手に包まれ戻ってくる夫は、高潮した顔で真っ先に妻に話しかける。そして喝采の続くステージへ戻ってゆく。
彼女は舞台袖でまた一人になる。ポツン、と。
もしかして、ドディはピアニストとしての寂しさを感じる時もあるんだろうな…と想像してしまう。夫との才能の違いはわかってても(わかってるからこそ?)、元・同級生として、親友として、恋人として、妻として…複雑な気持ちはあって当然だろうなぁと。
でも、続く夫妻のいちゃいちゃシーン(ふざけあったりキスしたりカフェでデートしたり)を見たり、「ドディは一番の親友で理解者で」というアシュケナージの言葉を聞いていると、彼女はやはりピアニストでなくてもとても幸福なのだと感じてホッとする。
それに、夫が妻を見る時の笑顔はもう!砂糖菓子より甘いんだからして。目眩したわ、あまりにステキで。
この夫は芸術家のクセに妙に包容力があって…なんというか、安心して身をゆだねていれば全て上手くいくような気分にさせてくれそうな気がするんですよね(やばい妄想が暴走している気が(汗))。


1972年。
次男のディムカ(3歳)の手をひいて歩く姿。
インタビュー。

インタビュー中、膝に手を置き一生懸命言葉を選んで話す姿も、めちゃくちゃ愛らしいです。
(言ってる内容はヒアリングできずに挫折しました。あとでゆっくり研究します(汗))。


1977年。ロンドン。
アシュケナージパールマン、リン・ハレルの夢のトリオの映像!このトリオも大好き!!
はじめて演奏風景見られました。うぇ〜ん、嬉しいよぅぅ。
願わくばもう少し長く収録されてたら良かったんだけど贅沢はいえませんね。
白トックリ3人組、最高です。


1980年。
レスピーギを指揮するアシュケナージ
ああ…どんどん年をとってゆくよ(涙)。
ここから先はもう、なんとなく今に近い。
この頃から指揮する時に左手が所在無さそうに動くクセあるんですね。
そして、「展覧会の絵」ピアノソロ、シベリウスフィンランディア」の指揮。
最後はベートーベンのピアノソナタ30番をコンプリートで。おまけで28番も少し。


ざっと内容を書いてみましたが、こんな感じ。ファンは必見です。
他にもパンツ一丁姿(ただのオヤジ。色気はゼロ)とか、サイズ違いにしか見えないコート姿で街を歩く姿とか、当然ながら多々の演奏なども見られます。
やはり圧倒的に若い頃の彼はステキ!!
ま、一般的に言うイケメンというわけでもない…と思うんですけどね。私の心にはキちゃうのだ。シビレちゃうのだ。


そういえばフィルムの中でドディもアシュケナージのことを「ボーヴァ」と呼んでおりました。
パールマンもそう呼んでいるし…結局、彼はまわりじゅうからその愛称で呼ばれているということですね。
…ボロージャちゃうね?(汗)


…。


えっ…と。だったら私も今度からそう呼ぶことにしようかな…。
ボーヴァ。
ボロージャ、てのもカワイイ呼び名なんだけどな。時々はそう呼んじゃうかもな。呼び名ひとつでこんなに悩ましいなんて困ったもんだ。


なにはともあれ、いい記録フィルムでした。しばらくは夢心地ですよ。
若き日のボーヴァ(うー、なんだかまだこの呼び方、慣れない)はそりゃステキでしたけど、今のマエストロも大好きです。
ああもうすぐ逢えるるる〜♪早く逢いたい。あと17日!

*1:これはかつて日本でもLDが出ていたらしい「素顔のアシュケナージ」と同一フィルムだと思うのですが、確認していないのでわかりません。