鄙びた里で最高の音楽を聴いた夜の話


パーヴォ・ヤルヴィ指揮・ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団ヒラリー・ハーン、聴きに行ってまいりました!
ああ・・・もうね、もうね、涙が出ちゃいそうなほど素晴らしかったですよ!最高でした。
なんか最初はもう信じられないような気持ちだったんだけどね・・・。
だってここ、壬生だよ?マジで田舎なんですよ。
我が家から車で40分くらいのところなんですが、不安になるほどどんどん田舎に入り込んでく印象の場所なの。こんなところにパーヴォ・ヤルヴィだのヒラリー・ハーンが来るわけないんだからね普通に考えたら。待ってるのは狸か狐か、ってなもんで(^^;;。
だもんもう、こんなところに来てくれただけでもありがとう!というか、申し訳ない!っていうか。
それがまたあんなに豊かな素晴らしい演奏を聴かせてくれて・・・。ホント、感無量です。


↑こちら、ピンボケですが開演前のステージの様子。
・・・狭いです。
コントラバスの位置が向かって左手に、ティンパニが通常コントラバスのいるはずの位置にいます。
バイオリンは左右に振り分けられている。
客席は空席が目立ちます。びっくりするほど入ってないよなぁ・・・。
話によると、(この公演は最初、ソリスト諏訪内晶子だったんですが)スワナイさんが病気で、ソリストがヒラリーに変わった時点で、チケを買ってた人からブーイングがあったらしい。スワナイさんじゃなきゃ、観にいかないよ、という。
私はその逆で、ヒラリーに変わったからチケ買ったわけですが(^^;;・・・そのことを関係者の人に話したら、思いっきり共感されましたよ(笑)。「音楽を本当にわかってりゃそう思うはずなんだよねー」みたいな。いや、私は単にヒラリーのファンてだけですけどね・・・
つか、ヒラリーだよ?いったい誰と比べるというんだろうか?スワナイさんには申し訳ないけど、この交代は本当にラッキー・サプライズでした。
と、まぁ、それはおいといて。


演目はオール・ベトベンです。
オケのメンバーが登場したあと、パーヴォ登場。
TVで見るよりずっと小柄な印象。
でも、透明感と言うか清潔感は実物でもビシビシ感じる。衣装はいつものパーヴォ・モード(濃紺の詰襟風上着&幅の広い揃いのストレートパンツ)。入ってくるなり振りはじめるのもデフォルトか。
かっこいい!

「コリオラン」序曲でオケの息の合ったところを見せてくれたあと、ヒラリー登場。
心の中で(ぎゃー。ホンモノだよぅぅ。)と叫ぶ私(^^;;・・・
ヒラリーはオレンジ色のビスチェと、光の加減でサーモンカラーとモスグリーンが溶け合ったように見える光沢のあるドレス、という格好。
髪はきっちりとまとめていました。
肩から腕にかけての肉付きがいいです。ちょっとたくましい感じ。
ヒラリーのイメージってもうちょっとお人形さんっぽかったんで、実物はずいぶんオトナっぽいんだなぁ・・・という感じでした。

ヴァイオリン協奏曲。
始まりは若干速めのテンポで。
オケが温まってきたかなぁ〜という頃、ヒラリーが入ります。
その音!
あぁぁ〜一気に天上にもっていかれちゃうような美音ですぅぅ。これぞヒラリーの音。
真っ直ぐで、伸びやかで、優雅。濁りのないきれいな重音にはもう、うっとりです。カデンツァの迫力にもただただ感嘆。
可愛いのに、しっかりとヴィルトォーゾ。巨匠の風格さえありましたよ。


なんと、ヒラリーにはアンコールがありました。ソロで。
「バッハのアンダンテです。」と、日本語で自ら曲紹介をしてくれました!
やっぱりバッハが来ましたね(*^^*)。彼女の愛する至高のバッハを聴くことができて、シアワセでした。素晴らしすぎてウルウルしちゃいましたよ。


演奏後、ヒラリーの元に主催者から花束が渡されると、ヒラリーはその中から深紅のバラを1本抜いて、パーヴォに、もう一本抜いてコンマスに笑顔で差し出していました。
それを受け取った男二人はなんだか可愛らしい風情でしたよ。パーヴォ、匂い嗅いでたし(笑)。
みんな、いい雰囲気(^0^)。


休憩を挟んで、「英雄」。
文句なしの最高の英雄です!
カンマーフィルは溌剌としてて覇気のあるノリのよいオケですね。こんなに「弾む」オケは初めて見ました。
なんだか皆さん椅子から体が飛び出しちゃうほどの勢いなのです。コンマスとその後ろのボウさばきなんてもう運動会みたいでしたが、一番すごかったのはビオラの女史ですな!興にノッてどんどん大股開きになってくの!のけぞったり足踏みしたり。ノリノリ!そのビオラ女史は笑顔も多くて、ホント楽しそうに演奏してました。
オケ内にはところどころに青い服の女性が点在していて(他の人は皆黒い服)、そういう視覚的なイメージも爽やかでしたね。
もちろんハジケるばっかりではなくて、絶妙なるピアニッシモだってじっくり聴かせてくれます。そのメリハリには鷲掴みにされちゃう。
パワフル&センシティブ。
伝統ある「ブレーメンの音楽隊」は、本当に、聴いてて気持ちのよい、ステキなオケでした。演奏はしっかりしているのに、オケの空気はカジュアルな親しみやすさも持ち合わせているし。
時折、団員には笑顔も混ざる。パーヴォも笑顔。
パーヴォって、パッと見、いかつい人だから、すごくクールなのかと思いきや・・・指揮は情熱的だし、陽性のオーラがあるし、オチャメな仕草をしてみせたりして・・・実はカワイイヒトです、ね?(笑)


アンコールにはシベリウスの「悲しきワルツ」を演ってくれましたが・・・これが、スゴかった。
マイってしまった。これ、パーヴォがすごく得意な曲なんでしょうね。カンペキに美しかったからね。
最高だわ、パーヴォ&カンマーフィル。大好きになっちゃいましたよ。

ヒラリーにサインをいただきました♪
彼女のアルバムの中で一番「ジャケ写が気に入っている」アルバムのライナーにサインしてもらいました。*1
用意しておいたプレゼントを渡すと、とても可愛らしい気さくな笑顔で「Thank you!」と言ってくれましたよぅ。ファニーフェイスでにこにこと、ホント可愛い!


こんなド田舎で、しょぼいホールで、客席も全然埋まってなくて、楽章間に拍手しちゃう人がフツーにいるような*2・・・そんなステージだったんですけど・・・それでも、パーヴォもヒラリーもオケの皆さんも、みな幸せそうに、楽しそうに、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
その心意気が、本当に嬉しかった!
皆さんの醸し出していた気持ちの良い空気に触れて、私もとても幸せな気分になりました。もちろん演奏自体が最高だったからこそ、でもあるわけですが。
私は間(ま)の悪いことに、片目が見えない(結膜炎完治してなくてコンタクトが片方しか入れられなかったので)という最悪のコンディションだったんですが、それでも至福の時を過ごせました。
しかし、ホント・・・よくこんなところにこんなスゴイ人たちが来たもんです。まるで「雀のお宿」に行って帰ってきたような気分ですよ。
夢のよう。
・・・今後はもう、あの場所でこんなことはないよな(爆)。あの客の入り、ありえないもん・・(^^;;。

曲目

オール・ベートーヴェン・プログラム

■「コリオラン」序曲
■ヴァイオリン協奏曲
交響曲第3番《英雄》

アンコール
■ヒラリー/バッハ「アンダンテ」
■パーヴォ&カンマーフィル/シベリウス「悲しきワルツ」

06/5/19 壬生町中央公民館


*1:サイン会は会場でCDを買った人だけが対象。でも、買ったCDにはサインをもらわず、私はこの持参CDにサインしてもらいました。CD売り場にはダニエル・ハーディングルノー・カプソンなどコンサートには関係ないカンマーフィル関連のもありました。

*2:それを恥ずかしいとか悪いとかは、私はちっとも思っていませんけどね!