ピアノコンクール入賞者演奏会

演目

第1部
栃木県学生音楽コンクール、
ピティナピアノコンペティション、各コンクール入賞者記念演奏会

第2部
川村文雄ピアノリサイタル
 ショパン舟歌 嬰へ長調 作品60
 ラフマニノフ前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2「鐘」
 「音の絵」 イ短調 作品39-2
 「音の絵」 変ホ短調 作品39-5
 リスト: 「ダンテを読んで」(ソナタ風幻想曲)



地元のNHKの公開録音に行ってきました。(画像は川村文雄さん。)
主な目的は、小学生から社会人までの11人(そのうち7人は小学生)の、本年度コンテスト入賞者の演奏を聴くこと、でした。
一緒に行った娘(小5、ピアノ学習者)は、入賞者たちのレベルがあまりに高くてボーゼンって感じでしたねぇ。いい刺激になったかな?(笑)
ウチのコは、レッスンでつまづいたりもしないし、学校ではいつも伴奏を頼まれる役だったりするもんだから、なんとなーく「自分はピアノが上手なんだ」と思っていたわけですよ。発表会なども実にヌルイものしか経験がないし。
でも、県大会の優勝者とか、ピティナの入賞者っていうレベルの子は、もう全く違う世界の人たちなんですよね。やっていることが信じられないくらい高度。同じ歳の子がここまで弾けるというのは衝撃だったと思います。井の中の蛙、大海を見たり…てなもんで(笑)。
気迫も、努力も、(きっと)親の意気込みも、もう全て違うわけですが(^^;;。
ていうか、ピアノに向かい合う姿勢がすでに別なんでしょうね。


今回初めてこういう「選ばれた子」たちの発表会を見に行ったわけですが、いろんなことを考えてしまいました。
小さな子がスゴイ曲を華麗な技量で堂々と弾くのを見ていると、それだけでジーーンとくるものがありますね。
ピアニストは、こんな小さな頃からすでに孤独なんだ…。
ステージの上での圧倒的な「個」の屹立に、息を呑む思いがしました。
その孤独を楽しんでいるような子もいれば、必死で闘っているような子もいる。それぞれの「向き合い方」で真剣にピアノに向かっているその姿は、どの子もとてもいじらしいのです。そしてすごい存在感がありました。
ピアニストになれるのはほんの一握りの人だということは彼らも知っている。それでも、日々ピアノに向かう。
何のために?誰のために?
そこに折り合いをつけるのはオトナでさえ難儀なことです。
きっといろんな問いかけを抱えて歌い続けているであろう細い指先…。
さながら小さな哲学者の風情でもありました。
どうかどの子にも輝かしい未来が待っていますように!と祈らずにいられません。


後半部はプロの演奏家である川村文雄さんのリサイタルでした。
好きな作曲家のものばかりなので楽しみにしていましたが、少し疲れちゃった。
前半部の子供たちの演奏を真剣に聴きすぎたせいってのもありますが、選曲がちょっと難ありだったのかもしれない(個人的に)。リストの「ダンテを読んで」が冗長で、参りました(^^;;。眠る寸前。後ろの席の御婦人は大きないびきをかいていました(爆)。
アンコールでのショパンのワルツで、やっとホッとした。
今日のコンサートはあくまでも子供たちが主役なので、川村さんの演奏前にはかなり席を立つ人も多かったのですよね。そんな中でも真摯に演奏する姿勢に、こちらもまた(失礼ながら)いじらしく思えてしまいました。
プロになってもピアニストは大変なのだなぁ…としみじみ。
そして、たとえキーシンみたいな大御所になっても、大変さは変わらず、孤独も変わらず(てか、さらにそれは増して)、延々と何かと闘い続けていくのかもしれません。
だからこそ観客は、きれいな旋律だけでなく、彼らの存在そのものの美しさや深みに惹きつけられるんでしょうね。